DMGP2024-2nd Day1 :事前メタゲーム総括記事 アドバンス編
ライター:大塚 勇人(るるる)
はじめに
はじめまして、るるるです。普段はデュエチューブリーグのflat-gaming(FTG)で活動しています。今回、DMGP2024-2ndのアドバンスのメタゲームについて記事を書かせていただきます。
天下夢双!!デュエキングDreaM2024の発売後一週間とメタゲームが固まらないまま開催される今大会。このアドバンスフォーマットは超次元ゾーンと超GRゾーン、そして≪伝説の禁断 ドキンダムX≫や《零龍》などの外部ゾーンを使った他のフォーマットでは味わえない唯一無二の戦いができるフォーマットだ。
本記事では、想定しているメタゲームに存在するデッキの動きと特徴、メタゲームでの立ち位置などを簡単に解説していく。
また、天下夢双!!デュエキングDreaM2024で追加されたアドバンスフォーマット専用ともいえる新カードにもスポットを当てるので注目していただきたい。
闇単ゼナーク
闇単ゼナーク サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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オリジナル環境ではあまり見かけない《死神覇王 ブラックXENARCH》だが、《零龍》の力を借りてアドバンスでは最強格となった。
凄まじい速度での盤面制圧とハンデス(手札破壊)こそがこのデッキの真骨頂。最速2ターン目の《死神覇王 ブラックXENARCH》の着地は、ゲーム開始時に相手に1ドローを与えるという《零龍》の唯一とも言えるデメリットを意に介さないほどである。
防御面においては《堕魔 ザンバリー》、《霊淵 アガルーム=プルーフ》などの大量のブロッカー、そして、一度でも主導権を握ってしまえば《零龍》が持つ零龍卍誕による強力なカウンターで二度目の対応を強いることができる。また《秩序の意志》や《深淵の逆転撃》などの手札からプレイできる受け札を採用できるのも強みだろう。
そして、ゴールド・オブ・ハイパー・エンジェルで追加された《暴淵 ボウマ=ダンマ》によって《死神覇王 ブラックXENARCH》の踏み倒し条件を達成しつつ、天敵である《とこしえの超人》などのメタ(妨害)クリーチャーを突破するといった動きが可能となり、更にデッキ全体の対応力が高くなったと言える。
デッキパワーの高さから今大会で最も意識を向けられ、メタゲームの中心にいるデッキと言っても間違いない。《とこしえの超人》や《ポッピ・冠・ラッキー》をはじめとするメタカードの対処をデッキの構築で他を出し抜くのか、本来のデッキの動きを損なわないように自身のプレイングで勝負をするのか、持ち込むプレイヤーがどのようなアプローチで今大会に臨むのか注目だ。
火闇バイク
火闇バイク サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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この【火闇バイク】は、ここ直近のGPでは必ず見ると言っていいほど長くメタゲームに存在し続けている。
構築こそメタゲームによって変わるが、メインの動きは至ってシンプル。小型コマンドから《禁断の轟速 ブラックゾーン》や《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》を侵略させて、早期決着や殴り合いを仕掛けるビートダウンデッキだ。
《ドキンダムの禁炎霊》からの≪伝説の禁断 ドキンダムX≫の禁断解放や《終末の時計 ザ・クロック》など強力なS・トリガーが殴り合いをした際の受けをしっかりと作ってくれている。また、ゴールド・オブ・ハイパー・エンジェルで追加された《逆転の影ガレック》が《ポッピ・冠・ラッキー》などのメタクリーチャーを突破しながらのカウンターをも可能にした。
《禁断の轟速 ブラックゾーン》と≪伝説の禁断 ドキンダムX≫などの封印が、コマンドを持っていないクリーチャーでほとんど構成されている最近台頭してきたデッキに対してめっぽう強いのも立ち位置がいい要因であり追い風だろう。
火光闇ファイアー・バード
火光闇ファイアー・バード サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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超感謝祭 ファンタジーBESTで大幅な強化を受け、オリジナル環境でも使用者の多いデッキだ。
メインプランはオリジナルと変わらず、攻めの起点となる《ハッター・ルピア》や《アリスの突撃インタビュー》から《雷炎翔鎧バルピアレスク》や《龍后凰翔クイーン・ルピア》を踏み倒し、《アリス・ルピア》などに繋げて早期に大量の打点を押し付けるビートダウンデッキだ。仮にメインプランを通せなかったとしても《ハンプティ・ルピア》でのハンデスや、多く搭載されているメタクリーチャーで妨害をしながら時間を稼ぐことができる爆発力と対応力を兼ね備えたデッキと言える。
オリジナルと大きく違う点は超次元ゾーンの存在だろう。《カモン・ピッピー》を採用することによって《サコン・ピッピー》や《ウコン・ピッピー》などの複数の小型ファイアー・バードを展開し《雷炎翔鎧バルピアレスク》のエクストラターンを取りやすくしたり、早期の《勝利のリュウセイ・カイザー》で妨害など、状況に応じての選択が可能なため、オリジナルと比べて対応力が高くなっている。また《龍后凰翔クイーン・ルピア》がメクレイドの内容を決めてから≪蒼き覚醒ドギラゴンX≫にP革命チェンジし、無理矢理リーサルを作りにいく動きも非常に強力である。
《ポッピ・冠・ラッキー》が墓地だけではなく、超次元ゾーンの使用やGR召喚をも咎めるため、オリジナル環境よりも広範囲にその力を振るう。想定していなかったデッキに遭遇しやすいGPという舞台にもってこいの性質なのは言うまでもない。
水闇卍夜
水闇卍夜 サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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2023年の全国大会で注目され、前回のGPでも強い印象を残したデッキだ。
《卍夜の降凰祭》から≪龍月 ドラグ・スザーク≫や《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》などのドルスザクを踏み倒し、対面によってビートダウン、コントロール、ループフィニッシュを選択することができる。そして、《零龍》の《復活の儀》次第では最速2ターン目に《卍夜の降凰祭》を打つこともできる速度も申し分ないオールレンジデッキとなっている。
どんな場面にも対応できるよう《ガル・ラガンザーク》や《「無月」の頂 $スザーク$》といった強力なドルスザクが採用されている。【火闇バイク】などのメインプランに踏み倒しが組み込まれているデッキには《ガル・ラガンザーク》を出すことで十分な時間を稼ぐことができる。また《「無月」の頂 $スザーク$》は【闇単ゼナーク】に対して一度でも盤面に出してしまえば、継続的な妨害とリソースの確保を行いながら正面から戦うことが可能だ。
《零龍》唯一無二の高いパワーと、魔導具特有の対応力が一つとなった魅力的なデッキだが、この【水闇卍夜】は、デュエル・マスターズ史上屈指の高難度を誇る。【闇単ゼナーク】と共にメタの対象となりやすいため、使用者は高いプレイスキルと構築力の両方を求められることは間違いないだろう。
光水闇トリガーLO(逆アポロ)
光水闇トリガーLO(逆アポロ) サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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「デッキを全てS・トリガーにしてしまえば負けないんじゃないか?」誰もが一度は考えたことがあるだろう戦術が具現化した、個性的なデッキの多いアドバンスの中でも特異な存在、それが【光水闇トリガーLO】通称”逆アポロ”だ。
デッキのほとんどが《偽衒学者の交渉》や《聖闘の精霊龍 セイント・カイザー / ライブラ・シールド》のようなシールドを増やすS・トリガーで構成されており、攻撃を受けながら相手のデッキを削り切りLOを狙うのが基本戦術である。また《13番目の計画》と《【今すぐ】うわっ…相手の攻撃止めすぎ…?【クリック】》を搭載していることで自身はLOすることなく半永久的に相手の攻撃を受け続けることができる。
オリジナルでも似たようなデッキタイプはあるが《頂上の精霊 ミラクルスZ》そして≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の存在が最大の違いであり、アドバンス唯一の強みと言って間違いない。
5マナさえあれば毎ターン《頂上の精霊 ミラクルスZ》を超次元ゾーンから召喚し《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》の封印を外せる。これにより手札事故、そもそも手札がなくてもこの動きができることから環境で最も再現性の高いデッキと言えるだろう。そして、ゲームが終盤になれば≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫の禁断爆発により盤面を一掃しつつ、相手の山札を一気に削り飛ばせる。
最高硬度を誇る防御力と絶対的な再現性を武器に、メタゲームの中心にいる【闇単ゼナーク】やビートダウンデッキを一切寄せ付けない【光水闇トリガーLO】はメタゲーム上の立ち位置がいいと言える。だが、呪文をロックしてくるデッキやループフィニッシュしてくるデッキに対して手も足も出ないという弱点もある。予選ラウンドが多いGPでは相手のデッキや構築に左右されやすいというこの大きな弱点は気掛かりだろう。
火光自然モルトNEXT
火光自然モルトNEXT サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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時代やメタゲームによって形を変えながら【火闇バイク】と共にアドバンスの最強の矛としての地位を確立させたのがこの【モルトNEXT】である。
《メンデルスゾーン》や《ボルシャック・栄光・ルピア》などのドラゴン基盤の初動からの《超戦龍覇 モルトNEXT》や、《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて!モルト!!」》から踏み倒す《夢双龍覇 モルトDREAM》などのドラグナーで最速3ターン目に盤面が空でもリーサル(ゲームの決着)をゆうに超える打点を押し付けることができる。
メインギミックであるドラグナーを引くことができなくても《王道の革命 ドギラゴン》や《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》といった強力なドラゴンがドラグナーの到着までの時間を作ってくれる。また《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》などを駆使してドラグナーの到着を待たずにそのまま殴り切ってしまうことも可能だ。
天下夢双!!デュエキングDreaM 2024で登場した《夢双龍覇 モルトDREAM》は《とこしえの超人》や《ポッピ・冠・ラッキー》によって超次元のドラグハートが封じられても突破できる十分な攻撃力を持っている。そして《超戦龍覇 モルトNEXT》や《爆炎龍覇 モルトSAGA》とマナ武装の条件が違い、大量の火マナを必要としないため《インフェル星樹》や《地封龍 ギャイア》などの火文明でないドラゴンを多く採用しても、全く動きが鈍ることなく自身の効果を最大限に使える。終盤のトリガーケアや小回りが利くという部分では《爆炎龍覇 モルトSAGA》に軍配が上がるが、間違いなく構築の自由度を上げたカードだと言えるだろう。
【闇単ゼナーク】などのハンデスに対してのメタカードとして《爆龍覇 グレンリベット / 「爆流秘術、暴龍の大地!」》やビートダウンデッキに対しての回答として《革命の絆》が搭載されている。申し分のない強化をもらい想定するメタゲームに合わせて構築もしやすい立ち位置のいいデッキだろう。
その他の注目デッキ
火光水BAKUONSOOO8th サンプルデッキ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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やはり一番注目すべきは先日のデュエチューブリーグでも全チームが使用した【火光水BAKUONSOOO8th】だろう。構築も三者三様、さまざまなアプローチで自身の思い描くメタゲームに合わせてのチューニングが可能なデッキとなっている。
どの構築でも共通していることは《頂上混成 BAKUONSOOO8th》は一度動き出したらリーサル以上の打点を叩き出すという強さ。最速3ターン目の《“必駆”蛮触礼亞》から《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を踏み倒し、アタック・チャンスで《禁時王秘伝エンドオブランド》を唱えることでたいていの受け札を無力化しながらそのままゲームを終わらせることができる瞬間的な爆発力こそ最大の魅力だろう。 超GRゾーンをジョーカーズクリーチャーで統一して《マシンガン・トーク》や《ジェイ-SHOCKER》や《無限合体 ダンダルダBB》などでトリガーケアをしながら攻撃をし、たとえターンを返しても相手の選択肢を奪いながら戦うことができる。また、《凶鬼000号 ゼロヴォイド》と《暗黒の騎士ザガーン GR》を搭載することで超次元から《時空の禁断 レッドゾーンX》をP侵略させて、相手のクリーチャーを破壊しながらW・ブレイクする動きも強力である。そして《マシンガン・トーク》でタップしている《時空の禁断 レッドゾーンX》をアンタップさせることで《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が除去されてもダイレクトアタックすることが可能だ。
まだ開拓の余地がありながらも確かな強さを持つ【火光水BAKUONSOOO8th】は今大会のダークホースと断言していい。 アドバンスのコントロールを代表する《最終龍覇 グレンモルト》を使った【4cドラグナー】や、2022年の王者【ガイアッシュ覇道】も天下夢双!!デュエキングDreaM 2024で大幅な強化をされている。《蒼き夢双 ドギラゴン天》そして《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》などの強力なドラゴンの追加でよりロングゲームに強くなった。同じドラゴン基盤の【火光自然モルトNEXT】と比べるとややパワー不足が目立つが、メタゲーム外のデッキに対しての対応力は随一である。
おわりに
天下夢双!!デュエキングDreaM 2024により強化された【火光自然モルトNEXT】をはじめとしたドラゴン基盤のデッキや【火光水BAKUONSOOO8th】のような新しいデッキタイプがメタゲームを大きく変化させると予想している。【闇単ゼナーク】や【火光闇ファイアー・バード】そして【火闇バイク】などの強化こそされてはいないが、メタゲームに残り続けている確かな強さを持っているデッキを使うのか。それとも、メタゲームを予想して有利なデッキを当てにいくのか。プレイヤーがどのような思考で選択するのか注目したい。
年に数回、もう数少ない外部ゾーンを使えるアドバンスフォーマットの大型大会だ。普段からアドバンスをプレイしているプレイヤーも、そうでないプレイヤーも悔いのない選択を。
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