DMGP2025-2nd Day2(オリジナル)決勝Round4:みん”たた”放題ch vs. snameriサーカス団
ライター:高橋 穂(北白河)
撮影:瀬尾 亜沙子
最強のチームが、フィーチャー席に現れた。その名は、みん”たた”放題ch 。
……こう書くと諸説出てきそうだが、この「最強」には根拠がある。一つは、チームメンバーの実績面。
2025年上期ランキング1位、チーム戦GPでの優勝経験を持ち、昨日のDay1でもベスト8に入賞したkaisora。 GP・超CSとチーム戦大型大会で2回の準優勝経験を持つtaki。GPで複数回のベスト8入賞実績を持ち、インフルエンサーとしても知られるみみみ。
もちろん全員全国大会出場経験もあり、日々のCSでの優勝数などももはや数えればきりがないほど。これだけで、「トッププレイヤーたちによる、最強のドリームチーム」という評価が崩れることはないだろう。
そしてもう一つは、本日の成績。
彼らは、長い予選をトップで通過したうえでここまで勝ち上がっている……つまり、今日無敗のチームなのだ。つまり、この会場内で現在最も好成績のチームと言える。
最強の実力者が、最高の波に乗っている。まさに向かうところ敵なしの状態だ。
そして、彼らの前でやや緊張気味に対戦開始を待つのは地元愛知県のチーム、snameriサーカス団。日頃からCSで腕を磨く彼らだが、さすがにGPでここまで登ってくるのは初めての様子。
予選順位確認の際に「絶対先攻です!1位です!」といつものハイテンションで告げるみみみ にやや気圧されつつも、静かに闘志を燃やす。
ここを超えれば、栄光の証である《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》は目前。
ドリームチームが勢いのままに駆け抜けるか、それとも特大のジャイアントキリングが果たされるのか。
A席:kaisora vs sunameri
B席:taki vs ごみいち
C席:みみみ vs うなたろす/彩色硝子
A席:kaisora vs sunameri
先攻:kaisora
先攻1ターン目の《フラワー・ハート》召喚→2ターン目《アストラル・ハート》に進化して3ドロー……と、【サイバー】であることを主張しつつ黄金ムーブで圧をかけていくkaisora。同じ【ゼーロ】を使うB席のtakiとC席のみみみ が序盤から相談しながらゲームを進行していくのとは対照的に、早仕掛けを見せる構えだ。
対してsunameriは、多色カードをマナに埋めて文明を確保していく……という【ゼーロ】らしいムーブ。3ターン目以降のビッグムーブに備えて、じっと準備を整えていく。
だが、3ターン目の動きが強いのは【サイバー】も一緒。《マクスハト》が姿を表すと、《アストラル・ハート》を手札に戻しつつメクレイドの時間が始まる。
ここで初めてB席のtakiに相談し、どのカードをメクレイドするか悩むkaisora。短い相談ののち、《アストラル・ハート》を素出しすることで次のターンに向けて手札・山札・そしてバトルゾーンを整える。
必殺の3ターンキルこそ成就しなかったが、ここまで準備が整えば次のターンにはメクレイドでも素出しでも《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》に繋がるのは明白。言外に、「次のターンでループ突入するか応手を打たなければ、あと1ターンでこちらが勝つぞ」という予告を突きつけた形となる。
これはさすがに厳しいsunameri。B席のごみいちと何度も相談しつつ、今の手札でできることをしっかり考えてから、祈るようにドロー。アンタップインの《闇王ゼーロ》をチャージして3マナを確保し、手札から飛び出るのは……《裏斬隠 テンサイ・ハート》。sunameriの手札には、要求されたループ突入手段も応手もない!
2ドローののち、「もし《~地獄帰りの騎士~》を引けていれば」という無念の籠った《DARK MEMORY CONTAINER》を捨ててターンを返す。
こうなってしまえば、もはや【サイバー】は止まらない。
《昇カオスマントラ》《アイドル・ハート》《フラワー・ハート》を抱えた《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》が登場すると、メテオバーンでドローしつつ墓地に行った《アイドル・ハート》でメクレイド→《マクスハト》で《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》をバウンスしつつメクレイド→《黄昏ミミ&トワイライトMk.3 ー挑戦のヒロインー》を《マクスハト》の上に進化してメクレイド→《アストラル・ハート》を2体目の《マクスハト》の上に進化して3ドロー……と、凄まじいメクレイドの連鎖を繋いでいく。大量の手札は即座にループに繋がるようなものではなかったらしいが、それでも先ほど待機していた《昇カオスマントラ》の効果で再び《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》(当然のように進化元には同時にバウンスされた《昇カオスマントラ》を抱えている)が出てきてビッグムーブは継続される。
そして、その攻撃時にメテオバーンでドローをさらに進めつつ、最後にtakiに手札のカードを見せて相談する。最高峰のプレイヤーたちによって放たれる、勝利を確実にするためのダメ押しの一手は……。
《シュトラ》だ。両者のマナをバウンスするという、この場ではそこまで重要そうに見えない一枚だが……しばらくしてからsunameriは、kaisoraに指摘されて気付く。
マナが3枚から2枚になった結果、デッキの守りの要となる《裏斬隠 テンサイ・ハート》のウラ・ニンジャ・ストライク3が使用不可になる、と。
そう、kaisoraの狙いはループではなくビートダウン。先ほどのメクレイド連打の際にNEO進化で攻撃可能なクリーチャーを可能な限り作っておくことでどちらのルートでも勝ちに行けるようにしていたのだ。こうなればsunameriを守るものは、5枚のシールドと決して厚くないS・トリガーのみ。《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》で3点。《黄昏ミミ&トワイライトMk.3 ー挑戦のヒロインー》で2点。
S・トリガーやG・ストライクがなかったことを見届けると、《アストラル・ハート》のダイレクトアタックがこのテーブルで最初の決着をもたらした。
Winner:kaisora
kaisora「っし勝った!頼む!」
チームメイトにまず勝利を告げると、kaisoraはすぐにtakiとみみみ の手札をのぞき込む。ここからは、ただでさえ強豪プレイヤーである彼らに、kaisoraの頭脳までもが加わるのだ。
引き続きゲームを続けるB席のごみいちやC席のうなたろす/彩色硝子 にとっては、凄まじいプレッシャーとなったことだろう。
しかし、それが何一つ諦める理由にならないことを、ここまで勝ち残ってきた彼らは知っている。
B席:taki vs ごみいち
B席に目をやると、戦いは佳境。
ごみいちの【ドリームメイト】はすでに《料理長のラビシェフ》《料理猫のプワソン》含む大量展開に成功しているが、《お目覚めメイ様》がいないことで特殊勝利ではなく複数ターンかけてのビートプランに切り替えを狙った模様。さらに《清浄のカルマ インカ / オキヨメ・水晶チャージャー》のクリーチャー面を2体並べてコンボ突入を牽制しつつ、takiのシールドを1枚まで削ることに成功している。
しかし、それによってtakiのリソースも十分に増えているのも事実。10枚近い手札と十分な墓地を稼いだうえで、大量の選択肢を得ている。すでに墓地とバトルゾーンに《DARK MEMORY CONTAINER》が1体ずついることもあり、≪清浄のカルマ インカ≫さえどかせば、《~地獄帰りの騎士~》→《闇王ゼーロ》からやりたい放題できそうだ。
……そんな戦況でターンを返したごみいちに対して、kaisoraと相談したtakiは《真気楼と誠偽感の決断》を公開。選ばれたのは、手札入れ替えモード2回。山札枚数をカウントしつつ、さらにリソース拡充を図っていく。除去ではない……と思わせた刹那、ターンを得たtakiがノータイムで召喚したのは《飛翔龍 5000VT》!
《料理長のラビシェフ》のおかげでドリームメイトたちは生き残るが、目の上のたんこぶである≪清浄のカルマ インカ≫2体のバウンスに成功。そして間髪入れずに《~地獄帰りの騎士~》を召喚し、墓地の《DARK MEMORY CONTAINER》を蘇生!相手の妨害を剥がしきり、合計5ドロー。通常ならばほとんど勝ったも同然の状況だが、何か様子がおかしい。
takiとkaisoraという最強のプレイヤーが、大量の手札を見て何かを相談している。彼らの頭脳をもってしても覆せないような、想定外の事態が起きているのは明白だ。手札枚数は足りている。バトルゾーンの闇のクリーチャーも足りている。ついでに墓地に蘇生先の《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》も落とせている。だが。
《闇王ゼーロ》だけが……どこにも見当たらない!
この時点で、takiの山札は9枚、シールドは1枚。この非公開領域10枚の中に4積みの《闇王ゼーロ》がすべて落ちている確率は、ざっと計算してわずかに0.23%ほどの超希少事例となる。数百回に1回の不運に見舞われつつ、それでもなおできることがないか必死に考えるtakiとkaisora。そして、彼らの出した結論は……ターンをそのまま終えることだった。
ごみいち「ターンが返ってくる……!?」
自身でも信じられないように、思わず大きな声を出してしまうごみいち。《飛翔龍 5000VT》が出て≪清浄のカルマ インカ≫がバウンスされた時点で、生きた心地がしなかっただろう。驚くのも当然だ。
その僥倖を後押しするかのように、このタイミングでC席ではうなたろす/彩色硝子 が勝利を決める。このチャンスをものにするのは、今しかない。
ターンが返ってくるや、takiの墓地やマナを確認して不確定要素となる《裏斬隠 テンサイ・ハート》の枚数を確認するごみいち。一般的な構築ならば3枚程度の採用がセオリーであることと、すでに公開領域に2枚見えていることから、もし手札に持っていてもあと1枚程度であると推測できる。
見えてきた勝機に、ごみいちは覚悟を決める。《飛翔龍 5000VT》のロックがかかっているとはいえ、こちらにはクリーチャーが《料理長のラビシェフ》《料理猫のプワソン》《料理犬のヴィヤンドゥ》《ピザスターのアンティハムト》2体。そしてtakiのシールドは1枚、ブロッカーは2体のみ。ならば。
ごみいち「俺のやりたいようにやっていい?(制限時間)あと5分しかないし」黙ってsunameriが頷いたのを見届けると、ごみいちは≪オキヨメ・水晶チャージャー≫を使用してtakiの墓地を掃除しにかかる。これにより、もし《影世界のシクミ》がトリガーしてもそのリスクは最小限に抑えられる。
まず《料理猫のプワソン》でtakiに攻撃し、《料理長のラビシェフ》でブロッカーの《DARK MEMORY CONTAINER》を1体タップしつつ選択を迫る。《裏斬隠 テンサイ・ハート》でコスト3が切られることだけが裏目だが、ここは割り切って攻撃を通しに行く算段だ。
ここで、takiの選択は……残った《DARK MEMORY CONTAINER》でのブロック。あれば使わない理由のない状況であることから、手札に《裏斬隠 テンサイ・ハート》はない!
taki視点では、「シールドから《影世界のシクミ》→そこから《~地獄帰りの騎士~》蘇生→シールドを増やしつつ《DARK MEMORY CONTAINER》蘇生、ブロッカーを確保しつつドローで《裏斬隠 テンサイ・ハート》確保」という非常に細い逆転のルートに賭けた形と言えるだろう。
その答え合わせをすべく、《ピザスターのアンティハムト》を攻撃させるごみいち。それを受け、takiは最後のシールドをめくり……。
そのまままた裏返しにし、手札に加える。トリガーは、ない!
それを見届けたごみいちは、即座に《料理長のラビシェフ》をタップし……強く頷き、ガッツポーズとともにチームメイトとその喜びを分かち合った。
Winner:snameriサーカス団
声を上げ、背中を叩きあい、両手を上げて興奮した様子で勝者インタビューに向かうsnameriサーカス団。間違いなく最強のプレイヤーたちが集うチームを、この大一番で破ったのだから無理もない。そして、その反対側には。
kaisora「マジか……」
みみみ 「(kaisora・takiに向けて)ごめん!」「ひどいゲームだな……!」
悔しさの残る声で、試合について振り返るみん”たた”放題chの三人の姿があった。最後の最後、絶対優勢の状態から滅多にない不運に見舞われた彼らの内心は複雑だ。デュエマと真剣に向き合い、それもまたデュエマだと誰よりも知っている彼らだからこそ、この悔しさはひとしおだろう。
それでもなお、彼らがそれをバネにさらに強くなれることは、過去の彼らの戦いが証明している。また、「みんなと戦えてよかった。」と言えるその日のために。
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kaisora 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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taki 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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みみみ 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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sunameri 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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ごみいち 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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うなたろす/彩色硝子 全国大会2023 日本一決定戦 オリジナル |
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