DMGP2025-2nd Day2(オリジナル):ローグデッキピックアップ
ライター:秋山 大空
《アストラルの海幻》《マクスハト》、《~地獄帰りの騎士~》《DARK MATERIAL COMPLEX》《DARK MATERIAL COMPLEX》……
「3ターン目にループされて負け」
この報告を、2強環境になってからの短い期間に何度聞いただろうか。
しかし、勝つためには対策しなくてはならない。
一般的な対策方法は二つ。
まず、ひとつは《異端流し オニカマス》や《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》のようなメタ(妨害)クリーチャーで盤面を固める。
盤面を固めた後は、並んだメタクリーチャーで攻撃するか、フィニッシャーを出して速やかにゲームを終わらせる。
だが、メタクリーチャーを並べるほど手札が減るため後続が続かないため、この対策を活かせるデッキは限られるのが実情だ。
一方、もうひとつの対策方法は簡単。
3ターン目のループは割り切るだ。
《マクスハト》を引いてメクレイドから《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》の下に《昇カオスマントラ》を敷かれる。
《~地獄帰りの騎士~》を引き、そのドローを含めて《DARK MATERIAL COMPLEX》を2枚引かれる。
どちらもそれなりに要求値は高く、そこそこの確率でもう少し長くゲームをすることになる。
あまり長引きすぎると軽減無しでの《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》召喚や《真気楼と誠偽感の決断》で劣勢に立たされることもままあるが、4~5ターン目に勝ちに行けるだけの出力を持つデッキは結構多い。
「いつループしてもおかしくない」状態は焦りを生み、無理な動きでループを止めようとして手札が無くなり【サイバー】や【ゼーロ】のペースに嵌ってしまうこともあるので、自分の動きの安定性を高める意識は案外大事なのである。
また、【サイバー】も【ゼーロ】もメタクリーチャーを並べるデッキではなく、入っていたとしてもミラーを意識した《異端流し オニカマス》や《Dの天災 海底研究所》程度。
それらが効かないデッキも多いため、3ターン目のループを割り切ることさえできれば、色々なデッキが活躍するチャンスとも言える。
今回はこの環境に食らいつく、本戦進出者128チームのうち使用者が1名、または1チームのみであった15種類のデッキを紹介しよう。
チーム「泥濘鳴鳴」1/3:光水ライオネル.Star
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1/3 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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受けデッキとして常に一定の立ち位置にいる【光水ライオネル.Star】。
タマシードのトリガーと言うケアしづらい角度から受けるためトリガーケアに強く、《ヴァルハラの天宝》で相手のループや自身の山札切れを遅延する等、耐えることに関してはピカイチ。
更に1/3は《真気楼と誠偽感の決断》や《流星のガイアッシュ・カイザー》等を採用し、相手の展開も強く牽制する構築にしている。
構築を読みづらいデッキに相手を引っかける要素をふんだんに盛り込めるのは、チーム戦ならではの構築と言えるだろう。
チーム「やゆよっ!---三音の妖精」スライ無:火闇邪王門
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スライ無 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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見事DMGP2025-2nd Day2の覇者となったスライ無が使用していたのは、【火闇邪王門】。
鬼タイムと鬼エンドで攻める鬼札王国の王道とも言えるデッキだが、侮るなかれ。今年の【火闇邪王門】は一味違う。
《百鬼の邪王門》と《アーテル・ゴルギーニ》で一気に墓地を増やすため、《単騎連射 マグナム》等のトリガーケアクリーチャーにアクセスしやすいのは言わずもがな。
スライ無は更に【ゼーロ】の《R・R・R》や《宇宙妖精エリンギ》を見た《ギガボルバ》を採用し、現環境での貫通力を上げている。
そしてデッキの新たな核となる《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》は、鬼エンドの準備から鬼エンド時の火力増強まで八面六臂の活躍。
《王道ダチ ケントナーク》が絡めば、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》でスピードアタッカーと化したG-NEO進化状態の《轟く邪道 レッドゾーン》で強引に受けを突破してしまうことも。
あらかじめD・D・Dの使用を宣言しておけば、NEO進化で《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》のドリームレアの制限を消しながら《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の効果で2体目を出すことも可能だ。
新カードと新ギミックを携え、邪道の王道、堂々復活。
チーム「ばにたす」アテナ@ばにたす:火光水庵野水晶
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アテナ@ばにたす DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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《庵野水晶》と革命チェンジで展開するドラゴンデッキだが、現環境において大きな主張点が存在する。
それがもう一人の主役《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》だ。
《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を出されて辛くないデッキはほぼ存在しない。
《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》で探し、自身の軽減で出す。
これだけでは1ターン相手の動きを阻害するだけだが、ここで《庵野水晶》の打点生成が活きるのだ。
革命チェンジし、《ドラゴンズ・サイン》を唱えて再度《庵野水晶》を出したり、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》に革命チェンジしながら《ドラゴンズ・サイン》で《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を添えると言った、殴りながらの強烈なロック性能がこのデッキの魅力。
変わったところでは《真気楼と誠偽感の決断》を使って《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》のEXライフを剥がしてシールドに仕込み、《庵野水晶》から革命チェンジした《ボルメテウス・レインボー・ドラゴン》から《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を出し直すと言うプランもあり、とにかく色々な手段で《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を使いまわすのが肝である。
なにより人気短編アニメ「ドラゴン娘になりたくないっ!」《庵野水晶》が主役のデッキ。使っていて楽しいのは言うまでもない。
ちなみに「ドラゴン娘になりたくないっ!」Youtubeチャンネルの登録者数はデュエチューブの2倍以上。
ドラ娘……遠くへ行ってしまったものである……
チーム「鈴木大樹」カ イ ト:火光闇ファイアー・バード
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カ イ ト DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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《アリスの突撃インタビュー》の殿堂入りによって数を減らした【ファイアー・バード】だが、本大会では3位と言う好成績を残している。
《雷炎翔鎧バルピアレスク》がいなくなり、わかりやすいフィニッシュ手段は無くなったものの、メクレイドで《ハンプティ・ルピア》を探す動きは依然として凶悪。
《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》や《奇石 ミクセル / ジャミング・チャフ》と言った単体で優秀なカードをデッキに加え、グッドスタッフ気味の構築が主流となった現在の【ファイアー・バード】。
今後も《ハンプティ・ルピア》や先攻3ターン目の《ハッター・ルピア》に悲鳴を上げるプレイヤーが見られるかもしれない。
チーム「はっちCS」アーチー/はっちCS&カイザ/はっちCS&ちゅーや/はっちCS:光水闇ジャスティスループ
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アーチー/はっちCS DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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誰が呼んだか逆張り始皇帝ことアーチー/はっちCS。そしてカイザ/はっちCSとちゅーや/はっちCSのチーム「はっちCS」が送り出すループデッキ。
同じ色のループデッキと言えば【ゼーロ】が最初に思い浮かぶが、このデッキは【ゼーロ】対策の対策になり得るループデッキである。
【ゼーロ】は《闇王ゼーロ》を唱え、回収し、また唱えることでループする。
つまり効果の誘発に切れ目が存在し、相手の《異端流し オニカマス》等の効果も処理しなければならない。
だが、このループは効果の誘発に切れ目がない。《PP-「P」》のような置換効果でなければ止まらないのだ。
一方、デッキの動きは手札を調整し、5ターン目前後のフィニッシュを目指してどっしりと構える手堅い構築。
《ウェディング・ゲート》で、予選で多く見られたと思われる【火闇自然D・D・D】や、流行しつつある【Drache der’Bande】のような殴るデッキへのガードを堅くし、【ゼーロ】のような呪文主体のループには《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》で時間を稼ぎこちらのループを通す構えである。
光が無ければ影は出来ず、順張りが無ければ逆張りも出来ない。
そして、堅実なプランが無ければ逆張りを通すこともまた出来ないのだ。
チーム「どんぶらこ」川上のカワウソ:火水マジック
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川上のカワウソ DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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まだまだ頑張る【火水マジック】。
【サイバー】や【ゼーロ】のような、盤面に準備が必要なデッキが多い現環境において、《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》は強烈。
《アリスの突撃インタビュー》の殿堂入りで≪ボン・キゴマイム≫が環境に戻ってきたことも嬉しいポイントだ。
足りないアンタップ呪文は《ゴルパガーニ-A7 / ダウンフォース・サーキュラー》による分割リーサルによって補う等、現在の【火水マジック】のスタンダードな構築での真っ向勝負。
本選進出を勝ち取ったのは、《芸魔王将 カクメイジン》と向き合い続けた、川上のカワウソの試行錯誤と努力の賜物である。
チーム「ジョーカーズ最強チャンネル~私達が自然文明のプリンセス~」RYDER:光水闇エルボロム
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RYDER DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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【ファイアー・バード】環境終盤に活躍した、《超光喜 エルボロム》と《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》のコンボデッキが形を変えて登場。
《超光喜 エルボロム》と《暴発秘宝ベンゾ》を《邪眼の祈祷師ザビ・ミラⅣ世》で出し直すチェインコンボからループに移行できるようになっている。
チェインが繋がらなくとも《邪眼の祈祷師ザビ・ミラⅣ世》でハンデス(手札破壊)のモードを選択し次の動きに繋げられる他、4コスト以下の蘇生で《光霊姫アレフティナ》のフィニッシュへもスムーズに移行できる。個性的でクレバーなギミックだ。
チーム「WINNERS」デスウォッシャ幾三:火水闇自然邪王門
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デスウォッシャ幾三 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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根強い人気を誇る、所謂【4c邪王門】が本戦進出。
【ゼーロ】に対して《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》の通りがいいため、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》のデッキと言っても過言ではない【火水闇自然邪王門】の活躍も納得だ。
新弾では《魔誕の封殺ディアス Z》で色基盤と攻撃力の両方が強化されたのだが、さらっとついているマッハファイターの一文もありがたい。
出す先は《天災 デドダム》、《龍素記号wD サイクルペディア》、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》と、いずれも次の動きに繋ぎやすいクリーチャーであり、盤面制圧をしながら《鬼ヶ大王 ジャオウガ》による鬼エンド起動までの道筋をしっかりと整えてくれる。
また、DTLでも使われていた《危識:この先、レッドゾーンあり》と《龍素記号wD サイクルペディア》も面白いギミックだ。
やはり《百鬼の邪王門》とD・D・Dの相性は良好である。
チーム「フォルテスカウトファイアゴスペル」コナユキ:水闇自然ジャオウガ
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コナユキ DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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長年の人気デッキ【水闇自然ジャオウガ】。
注目すべきは《大虹帝 ミノガミ / 「ミノマルちゃん!わたしがついてるわ!」》の採用だ。
《クイーン&かぼちゃうちゃう》を採用することで、2コストマナブーストとして使用した後に≪大虹帝 ミノガミ≫として使うことが出来る。
場の《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》や《同期の妖精 / ド浮きの動悸》を使いながら殴れる等、上手くシナジーを組み上げている。
チーム「塩化ナトリウム抜きの塩」れっどふーど:水闇自然マルル
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れっどふーど DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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より後ろで戦う水闇自然デッキ、【水闇自然マルル】。
《ヨビニオン・マルル》の次の動きとして《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》が増え、《ヨビニオン・マルル》の効果で無理にマナ追加を選ばずとも安定してゲームを作れるようになった。
《ティンパニ=シンバリー》は《ヨビニオン・マルル》の5枚目以降に見えて、動きを止めずに相手の盤面に干渉する貴重なカード。
序盤の盤面の質が重要な環境では、《ヨビニオン・マルル》に勝るとも劣らない活躍を見せてくれるはずだ。
チーム「豊潤一党」アポロ:火水闇ジャオウガ
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アポロ DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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ジャオウガと言えばこちらもお馴染み、水闇基盤の《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》デッキ。
目新しい変化と言えば、《轟く邪道 レッドゾーン》である。
多色が多くなりがちな現在のデッキでは単色のグッドスタッフカードは貴重な上、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》で蘇生し打点追加、小型のメタクリーチャーで殴りながら横置きし圧力をかける等、G-NEOクリーチャーの柔軟性が光る。
また、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の立ち位置の変化も【鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ】にとって追い風だ。
【ゼーロ】が増える中、《DARK MEMORY CONTAINER》の蘇生を問答無用で許さないメタクリーチャーは少なく、《PP-「P」》のようにリソースを与えることもない。
火水闇がフィーチャーされている王道Wでは、水闇に火を追加するに足る要因も多い。水闇基盤の選択肢の一つとして、今後も活躍し続けるだろう。
チーム「ねむなる茶」ナル茶:火光水自然モルトVERSUS
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ナル茶 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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オリジナルでも《双龍覇王 モルトVERSUS》は活躍中。
流石にアドバンスほどのパワーは無いが、横に《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》を置く動きの強力さはオリジナルでも変わらずだ。
ジャストダイバーで生き残った後は《流星のガイアッシュ・カイザー》で更に手札を伸ばしながら大型に繋ぐも良し、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》のようなマッハファイターを出しながら《「GG」-001》をD・D・Dするも良しと、《双龍覇王 モルトVERSUS》がいるだけで出来ることが一気に広がる。
【ドラゴン】の可能性を広げてくれる《双龍覇王 モルトVERSUS》の今後が楽しみである。
チーム「サイコグラッチェ運行」【UG】ティーエス:火水闇バイク
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【UG】ティーエス DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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DTLでるるるが使用していた、《ロイヤル・エイリアン ~熱奏のファーザー~》のギミックを採用した【バイク】。
メタクリーチャーを除去しながら《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》を走らせることが出来る《姫と王の不屈》によって、パンドラ・シフトの強度と先攻3ターン目の押し付ける力が上がっている。
【ゼーロ】の台頭によって《秩序の意志》が飛んでくるリスクが高い環境だが、コマンドを出しやすい【バイク】であればやや他のデッキよりは耐性がある。
2体のコマンドで《秩序の意志》の受けを作る、《異端流し オニカマス》で《DARK MEMORY CONTAINER》の着地を防ぎながら《秩序の意志》を切らせる等、【ゼーロ】環境で【バイク】を通すための【UG】ティーエスの工夫が伺える。
エイリアンと【バイク】のシナジーは、今後も要注目だ。
チーム「モリオカと不愉快な仲間たち」KF:火光水自然ドラゴン
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KF DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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KFのドラゴンは、火光自然がベースの《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を強く使う構築。
《王道の革命 ドギラゴン》からの各種革命チェンジでゲームを作るプランも搭載し、シンプルながらも速度の出る構成だ。
4枚積まれた《R.S.F.K. / オールイン・チャージャー》は《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》召喚の安定感を高めてくれるが、このデッキ、平均コストがかなり高い。
《R.S.F.K.》で攻撃すれば、【サイバー】相手にそのままワンショットと言うのも夢ではない…かもしれない。
チーム「色即是空」じぇー:光水闇ネバーループ
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じぇー DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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こちらも効果の誘発が途切れないループデッキ。
こだわりを感じるポイントは、ループを殿堂入りカード《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》に絞った潔さと、大量の軽いS・トリガー。
大量のS・トリガーは相手の攻撃を受けるためと言うよりも、《真気楼と誠偽感の決断》で使う選択肢を広げるためのもの。
《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》を探す過程で使った呪文がそのまま《真気楼と誠偽感の決断》で唱える選択肢になり、5ターン目の《真気楼と誠偽感の決断》の価値を引き上げている。
光水闇ループの中でも、特に小回りを意識したアプローチである。
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