全国大会2025:メタゲームブレイクダウン~アドバンス~
ライター:齋藤 陽(あーくん)
はじめに
「《ラッキー・ダーツ》。《最高にして彩光なる再興》を唱えます」2026年2月14日に発売されたパンドラ・ウォーズ。
圧倒的なリソース。高精度の妨害。決定的なフィニッシャー。
再び開かれたパンドラの門は、アドバンスを新たなステージへ押し上げた。
そこに生まれた問題児が1人。

《ラッキー・ダーツ》。一撃必殺の呪文が増えすぎたデュエル・マスターズにおいて、インビンシブルが当たれば可愛いもの。
最速1ターン目に吹き荒れる純粋な暴力。ついにラインを超えてしまった、というのがプレイヤーの心情だろう。
この事実が、どれほどのプレイヤーを悩ませただろう。1年間の努力が1ターン目に終わるかもしれない。自分がこのデッキに祈ることになるかもしれない。
練習中、そんな思いが巡ってもおかしくないだろう。
そして来たる3/21。全国精鋭の61名が何を選択したのか。その答えを見ていこう
デッキ分布
10 【光水自然ゴルギーオージャー】8 【4c 跳次元】
8 【光自然ドリームメイト】
7 【火闇レッドゾーン】
4 【4c der’Bande】
4 【光水闇邪眼帝】
3 【火水マジック】
3 【ラッキー・ダーツ】(デリート1超次元2)
2 【光水自然ハルカス】
2 【4c ヘブンズ・ゲート】
1 【火自然レッドゾーン】
1 【火自然ミリオンブレイブ】
1 【水闇カリヤドネ】
1 【闇自然ブラックオーバー】
1 【闇自然ドリームメイト】
1 【火光水ゴスペル】
1 【光水闇ネオンクス】
1 【火水自然モルトVERSUS】
1 【水闇自然ボウダンロウ】
1 【4cサファイア・ミスティ】
圧巻。
58人が【ラッキー・ダーツ】を迎え撃つと選択した。その様々な工夫を確認していこう。
【光水自然ゴルギーオージャー】
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のすけ 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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2ブロックとオリジナルの2フォーマットを制した2024年度王者が、アドバンスでも頂点に手を伸ばした。
豊富な勝利プランがあり、メタ(妨害)カードへの耐性も高い。
自分の力でコントロールできる領域が多く、腕に自信のあるプレイヤーに支持されたのは必然とも言えるだろう。
細かな採択はプレイヤーによって異なるが、注目すべきは《流星の逆転撃》の採用だろうか。

自分より早くリーサル(決着)を狙い、クリーチャーの除去も行う、【火闇バイク】のようなデッキに対して、綺麗に刺さるカウンターカードである。
最強の呪文である【ラッキー・ダーツ】に対しては、最強のメタクリーチャーである《一音の妖精》で対抗。
先攻後攻の差はあれど、勝率5割を保ちながら幅広く色々なデッキを見れることが評価されている。
どんなデッキと当たるかわからないアドバンスラウンドだが、その対応力を考えれば非常に「丸い」選択だったと言えるだろう。
【光自然ドリームメイト】
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デンネ 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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【ゴルギーオージャー】が丸さで対応するなら、ドリームメイトは押し付けて対応させないことを選択する。
最速2ターン目に飛び込んでくる《森夢のイザナイ メイ様》を受け止めきれるデッキは存在しない。
アドバンス屈指のパワーカード、《刀志猫のプワソン》をこれでもかと使いこなすことでロングゲームにも対応できる。まさにBESTなデッキだろう。
【ラッキー・ダーツ】には《光夢龍フィオナ・フォレスト》で完封を狙う。
他のデッキからすると、どちらも2ターン前後のビッグアクションを持つデッキであり、両方を意識するのは非常に難しい。
この大会では特に【ラッキー・ダーツ】に焦点が当たると考えられたため、【ドリームメイト】は比較的動きやすかったと思われる。
【ゴルギーオージャー】だけでなく、こちらも強力なデッキだった。
【4c 跳次元の決断】
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きや 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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《鬼修羅と跳次元の決断》を中心に、グッドスタッフ性の高いカードを詰め込んだミッドレンジデッキが【4c跳次元の決断】だ。
超優秀なサイキッククリーチャーと、《剣轟の団長 ドギラゴン王道》×《流星のガイアッシュ・カイザー》のパッケージを掛け合わせる、まさに万能を体現しているデッキと言えるだろう。
また、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》の存在もあり、ドリームメイトとゴルギーオージャーの両方に強く出れるのが特徴だ。
【ラッキー・ダーツ】に対して《とこしえの超人》を投げるのか、それとも無視して地上戦を強くするかはプレイヤーごとに色が出た。共通して言えるのは、この大会は【ゴルギーオージャー】が主導になるという他の選手たちへの期待があるだろう。
今回の大会では、オーソドックスな形の他に《王導聖霊 アルファディオス》とのハイブリッド構築も見られた。
【火闇レッドゾーン】
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さんやみ 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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全国大会に【ラッキー・ダーツ】はいない。と仮定するなら、デッキ選択も変わってくる。
12年の歴史を持つビートダウン、【火闇レッドゾーン】がアドバンスの最前線に帰ってきた。
そもそも攻撃力が高かったが、パンドラ・ウォーズが与えた《轟く跳躍 テレポートゾーン》によって横展開が可能になったことで攻めの幅がグッと広がった。

【ゴルギーオージャー】と【ドリームメイト】という、【ラッキー・ダーツ】を超えた後のメタゲームで強く立ち回れるのが最大の魅力だろう。
他の選手たちへの最大限の信頼。それがこのデッキを使う最大の動機になり得たと思われる。
この大会では《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》を採用することでラッキー・ダーツに対するアプローチを組み込む選手もいた。
副次効果として≪芸魔極楽!ガロウズ・ゴクドラゴン≫を強く使いやすくなるのも特徴だ。
【4c der’Bande】
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kaisora 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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オリジナルでは多面展開を武器にするメタビートだが、アドバンスでは3ターン目に≪超覚醒ラスト・ストームXX≫を顕現させる高速コンボに姿を変える。オリジナルとアドバンスの共通デッキの中でも、特に振れ幅が大きいアーキタイプである。
発売当初から話題になった3ターン≪超覚醒ラスト・ストームXX≫だが、各種メタクリーチャーが当たってしまうのがネック。特に、《超次元サプライズ・ホール》からの《時空のコスモ アンタッチャブル》によって止められてしまうのが難点と言われていた。
しかし、そんな弱点を解決するマスターピースが1つ。それが《とこしえの超人》。

超次元に対するこのカードは、言ってしまえば《単騎連射 マグナム》。メタビートとコンボの掛け合わせを行った、まさに謹製の構築だったといえるだろう。
今回は現代最強の決闘者、kaisoraをはじめとした4人が持ち込んだ。
【光水闇邪眼帝】
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スライ無 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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速度を捨てる。それもまた一つのアプローチだろう。
《冥土人形ヴァミリア・バレル》と《ポッピ・冠・ラッキー》という2大メタクリーチャーを擁するデッキの邪眼帝は、この全国大会の場においても強烈な支配力を放った。
このデッキはいない。と踏んだプレイヤーも多かっただろう。
1ターン目《ラッキー・ダーツ》。2ターン目《森夢のイザナイ メイ様》……。上振れによる割り切りのラインをどこに設定するかもプレイヤーの実力だ。
そして、超上振れでなければ抑え込めると判断して持ち込んだ。そこにあるのは実力と自信。全国大会という舞台にふさわしい持ち込みだろう。
アドバンスラウンドが終わった後、「ミラーにしか負けなかったから最強」とTJMは語った。
もしマッチングが違ったら、このデッキが天下を取っていたかもしれない。
【火水マジック】
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けんけんラーメン 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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日本一を狙う舞台。そこには下馬評にないデッキも当然存在する。
FTGはるるたちが持ち込んだ【火水マジック】は、【ゴルギーオージャー】と【ドリームメイト】が定義する環境に突き刺す必殺の武器だった。
《瞬閃と疾駆と双撃の決断》が失った穴を≪最終勝首領 カツマスター≫でカバーするようになったことで、3キル性能を格段に跳ね上げたことが使われた理由だが、それだけならまだ他のアグロデッキを使う選択肢もあるだろう。
ここで特異性を生み出したのは《超次元キル・ホール》から飛び出す《千両力士 多禍の泥粋》。
ハンデスとマナブーストによるゲームの遅延性能が、デッキにロングゲームの適性を与えたことで状況は一変。全盛期のようなオールレンジデッキとしてアドバンスのメタゲームに舞い戻ってきたのだ。
また、クリーチャー主体のメタゲームだからこそ、≪新空のネビュラ ユリア・マティーニ≫を能動的に使えることが一層輝く。

アドバンスにのみ許された≪「本日のラッキーナンバー!」≫。このカードを上手く使えることもまたデッキの強みだったろう。
シェアした3人はお互いに食い潰すなどの不運に見舞われた。
そんな中、けんけんラーメンが予選ラウンドを4-0したことは、正解の一つだったと言うには十分だろう。
【ラッキー・ダーツ】
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ラボン 全国大会2025 日本一決定戦 アドバンス |
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前評判では最強とも噂された【ラッキー・ダーツ】だが、この大会では徹底的にマークされていた。
その母数はわずか3人。そして彼らも、アドバンスラウンドを3-1以上で突破することはできなかった。
あまりに強力過ぎるが、メタを張るなら、5割勝負ならどんなデッキでも出来る。
その主張の通り、プレイヤーたちが工夫を凝らした結果、【ラッキー・ダーツ】は勝ち組にはなれなかった。
どんなプールでもプレイヤーたちは適応しきってみせるという、全国大会を象徴する結果だっただろう。
おわりに
パンドラ・ウォーズの衝撃。【ラッキー・ダーツ】の脅威。それでも全国大会に出るプレイヤーは乗り切れることを、彼らは示してみせた。ここで紹介したデッキ以外にも【火自然ミリオンブレイブ】や【闇自然ブラックオーバー】といった、「【ラッキー・ダーツ】にも、【ゴルギーオージャー】にも負けない持ち込み」を選択した選手もいる。
どんなデッキがあってもメタゲームは回る。アドバンスのカードプールは、可能性に満ち溢れているという片鱗を確かに感じることができた。
来たるDMGP2026-1st。そこでは再びアドバンスの大会がある。
この記事が、彼らの取り組みが、未来のデュエルマスターズの糧になれば幸いだ。
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