超CSⅧ北海道 :メタゲームブレイクダウン
ライター:宮崎 大(アーチー)
環境に衝撃を与えた『愛感謝祭 ヒロインBEST』発売。そして殿堂施行前、最後の大型大会となった超CSⅧ北海道。
ここ1年、環境を支配し続けた【ファイアー・バード】の最後の環境を紐解いていこうと思う。
TOP128 デッキ分布
30 【ファイアー・バード】19 【水単サイバー】
11 【光水闇アマテラスループ】
10 【自然単グランセクト】
9 【火自然アポロヌス】
9 【水闇COMPLEX】
6 【ドリームメイト】
4 【光水闇墓地退化】
3 【水自然ジャイアント】
3 【巨大アルファディオス】
3 【フィオナアカシック】
2 【ペテンシーフシギバース】
2 【光水ライオネル】
2 【火水闇アビス】
1 【5cザーディクリカ】
1 【水闇自然アマテラスループ】
1 【光水闇邪眼帝】
1 【ゴルギーオージャー】
1 【水闇ツインパクトループ】
1 【光水自然ゴスペル】
1 【水単ビスマルク(革命チェンジ)】
1 【オボロティガウォック】
1 【火光水ゴスペル】
1 【火光自然ボルシャック】
1 【5cMDW】
1 【ジョーカーズ】
1 【火光水庵野】
1 【ジャスティスループ】
1 【光水るる】
1/4弱を占める【ファイアー・バード】とそれと似たデッキタイプである【水単サイバー】が予選を多く勝ち抜く結果になった。
受けに重きを置いた【光水闇アマテラスループ】や抜群の安定感を誇る【自然単グランセクト】、前回GP覇者であるTier1キラー【水闇COMPLEX】も一定の予選上がりをしている。
「愛感謝祭 ヒロインBEST」が発売され、前環境に合わせて【水単サイバー】と【自然単グランセクト】が環境入りした形と言えるだろう。
次にTOP16の分布を見ていこう。
6 【ファイアー・バード】
4 【水単サイバー】
1 【自然単グランセクト】
1 【ドリームメイト】
1 【ゴルギーオージャー】
1 【巨大アルファディオス】
1 【ペテンシーフシギバース】
1 【水闇自然アマテラス】
【ファイアー・バード】はTOP128時点では全体の23.4%だったが、TOP16では全体の37.5%と本戦ではかなり勝ち越して生き残った。
同様に【水単サイバー】も勝ち越したことが分かる。
本戦で姿を消してしまったデッキは【光水闇アマテラスループ】【火自然アポロヌス】【水闇COMPLEX】だ。
【自然単グランセクト】も1人しか残っていないことから、ほぼ姿が見えないと言ってもいいだろう。
この結果を踏まえて、各デッキの話をしていこう。
【ファイアー・バード】
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curuto 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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予選突破数も本戦での勝率も安定して高かったのは【ファイアー・バード】。
TJM「他のデッキ使おうと思ってもサイバーがちらつくんすよ」(使用:【ファイアー・バード】)
鬼龍「CSでは他のデッキ触ったりするんですけど…」(使用:【ファイアー・バード】)
トッププレイヤーたちも結局勝つならこのデッキと意見を合わせている。
また【ファイアー・バード】を使用していないプレイヤーも、口を揃えてこう言う。
--今日の環境で最強のデッキは?
セキボン「ファイアー・バード!」(使用:【火闇自然ブラックルシファー】)
シムレイ「ファイアー・バードです」(使用:【水単サイバー】)
間違いなく最強は【ファイアー・バード】なのだろう。
『愛感謝祭 ヒロインBEST』が発売されても変わらないという今日の結果が証明している。
ではなぜ優勝できなかったのか---
ここではあくまで筆者の予想ではあるが、ひとつの意見として聞いて欲しい。
【ファイアー・バード】は難しいデッキだ。
マナチャージ、プレイするカード、《ハンプティ・ルピア》でハンデスするカードの選択、メクレイド。
選択肢が多く、一手間違えると勝率は落ちる。
一度使ったことがあるプレイヤーなら分かると思うが、【ファイアー・バード】を使うにあたって初見の相手へのプレイは本当に難しい。
他のデッキのプレイングがオートマ運転なら、【ファイアー・バード】はマニュアル運転。
他のデッキのプレイングが晴れ渡った空の真っ直ぐな道なら、【ファイアー・バード】は雷雨で歩く難解な迷路。
『愛感謝祭 ヒロインBEST』が発売してすぐ開催された中では、プレイヤーが対応できなかった可能性が高いと思っている。
プレイヤーが対応していたとしても勝負は水物。
事故や不運で負けてしまう可能性もある。
【ファイアー・バード】は環境が煮詰まり、全ての対面のプレイ指針が完成すると最強デッキとなる。
最強デッキになるには条件が必要。
今回はまだ未完成の『ヒロインBEST』の問いを正しく解けるプレイヤーが少なかった。
これを今日の答えの一つとして提示させていただこう。
【水単サイバー】
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徒花 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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--今日の環境で最強のデッキは?
リルク「え、ファイアー・バード。でも1番勝てるのはサイバーだと思うんだよな」
新弾『愛感謝祭 ヒロインBEST』で登場し、すぐさま予選突破数2位までつけたのは【水単サイバー】だ。
決勝が【水単サイバー】同型であるように、真の勝ちデッキは【ファイアー・バード】から逆張りをした【水単サイバー】なのかもしれない。
強みの一つが、2番手デッキとして他の【ファイアー・バード】を意識したデッキをすり抜けて勝てることだ。
ループの質と攻めの質が【ファイアー・バード】と異なることで得をしている。
【ファイアー・バード】が必ず楯を殴ってくるからと、S・トリガーを意識しても【水単サイバー】には効かず。
《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》が低コスト召喚可能+ジャストダイバー+T・ブレイク+エレメントバウンス+ドローという破格のスペックを持っているため誰も止められない。
デッキも強く、ヘイトも散っていて立ち位置も良い。
今回のワンツーフィニッシュは必然だったかもしれない。
【光水闇アマテラスループ】
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牧瀬 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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今回注目されたデッキの一つであることもあり、TOP128には11人と3番目の数となった。
DMGP2025-1stで《カレイコの黒像》を採用し、初見の相手を薙ぎ倒して行ったこのデッキはもう環境ではすっかりお馴染み。
初見の相手は少ないが、強いていうなら《裏斬隠 テンサイ・ハート》が強化ポイント。
ウラ・ニンジャ・ストライクで《真気楼と誠偽感の決断》の無償詠唱を支えることができた。
安直な攻めをしてくる【ファイアー・バード】にはかなり勝ち越すことができる。
しかしこのデッキがTOP16までに消えた理由は明確に存在する。
ひとつは“上手い【ファイアー・バード】”の増加。
必然的に予選突破プレイヤーの扱う【ファイアー・バード】は、予選中の【ファイアー・バード】より上手く使われる。
【ファイアー・バード】のミラー対策に増やされた《ポッピ・冠・ラッキー》も何故か巻き添え被害を受けている。
ふたつ目は【水単サイバー】。
【水単サイバー】は【ファイアー・バード】よりもループ色を強く使うことができる。
自身より速度も速く、メタも効かず、ハンデスもされるループデッキには流石に女王も膝をつく。
みっつ目がもうひとつの「クイーン」こと、《クイーン&かぼちゃうちゃう》の存在だ。
今や自然文明が採用されたデッキにはほぼ間違いなくこのカードが搭載されている。
マナブーストが無いデッキの8コストは、到達まで時間がかかる。
流石に強豪ひしめく本戦の階段を登ることはできなかった。
【自然単グランセクト】
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リノグレ 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
4番目に多かったのはもう一つの『ヒロイン』、【自然単グランセクト】だ。
いわゆる【自然単キャベツ】である。
このデッキの魅力はなんと言っても安定感である。
《ジャンボ・ラパダイス》の回収から大型クリーチャーを展開することの安定感とキルターンの破壊力は、予選を安定して勝ち越すために必要なものだろう。
結果TOP128には10人。
十分満足と言っていいほどの数字だろう。
TOP16には1人だった。
しかしこの数字を悲観することもない。
【ファイアー・バード】と【水単サイバー】が異常な勝率なだけで、シェア率8.5%→シェア率6.2%は変わらずに普通なことだ。
ただ上2つの異常さをこのデッキに求めるなら、足りないのは間違いなく3キルという速度に他ならないだろう。
【火自然アポロヌス】
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モルクァ 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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【自然単グランセクト】とは違い、【ファイアー・バード】、【水単サイバー】より速いデッキ【火自然アポロヌス】はTOP128に9人進出となった。
筆者の目で確認した限りでは、予選ではかなり多くの使用者がいたはずだがこの位置につけることに。
TOP16に進出したプレイヤーは0人となった。
本戦からは予選順位が高いプレイヤーが先攻となるルールは、【火自然アポロヌス】にとって絶好のチャンス。
自身の予選順位が高ければ、毎回先攻のボーナスステージ。
低くても自慢の速度なら常に相手より一歩先に動くことが出来るだろう。
ではなぜTOP16にいなかったか。
これは予測に過ぎないが、対面プレイの簡単さだと筆者は感じる。
【水単サイバー】や【自然単グランセクト】など新しいデッキに比べて、【火自然アポロヌス】はデッキが出来てから年月が経ち過ぎた。
加えて入手もしやすくなった今、対戦相手として見た際に【火自然アポロヌス】相手にはミスする箇所がほぼ無いのである。
速度は十分。
しかし足りないのはテクニカルな部分だったのかもしれない。
【水闇COMPLEX】
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ジョルト 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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DMGP2025-1stでカルマが使用し見事優勝したこのデッキは、TOP128に9人とメタゲーム予想よりもかなり勝っていた。
このデッキの主張点は《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》だと思う。
【ファイアー・バード】と【水単サイバー】を同時に対策するのが難しい部分をこの一枚で解決してくれる。
ジャストダイバーで置かれた《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》に対しても、≪ ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫や《奇天烈 シャッフ》で対処可能。
環境へのメタカードとして、今大会で一番の刺さりを見せていたと思う。
【ドリームメイト】
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マイケル 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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TOP128に6人と、【ドリームメイト】も陰ながら輝いていた。
自然文明を採用しているということはすなわち、《クイーン&かぼちゃうちゃう》が採用できる。
またEXWINの安定感も【水単サイバー】と似たような動きが可能だ。
対応力とフィニッシュ力を求められる予選と、デッキパワーと速度で戦う本戦両方を勝ち抜く可能性のある素晴らしいデッキだと感じた。
【巨大アルファディオス】
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ハバキ 超CSⅧ 北海道 オリジナル構築 |
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3位にも入賞した【巨大アルファディオス】はTOP128には僅か3名の進出だった。
その中でもTOP16までの道のりを支えたのは《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》だったのではないか。
水単色のエンジェル・コマンドとしてマナ埋めでも非常に優秀。
かつ【ファイアー・バード】や【水単サイバー】に出さえすれば貴重な1ターンをもぎ取ってくれる。
デッキのビッグアクションまでの縁の下の力持ちとして仕事をしっかりこなす影の立役者だと感じている。
終わりに
ここまで読んでいただいた勉強熱心な方には申し訳ない話だが、この環境の大型大会はこの超CSⅧ北海道にておしまい。次の舞台、超CSⅧ大阪は新殿堂フォーマット。
どんな物語が始まるのか、想像もつかないことが既に面白い。
そしてその物語のエピソード0になるだろう、この記事を読んでくれて本当にありがとう。
次のお話でまた会いましょう。
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