DMGP2025-2nd Day2(オリジナル)決勝Round3:どんぶらこ vs. 泥濘鳴鳴
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:後長 京介
「サイバー」と「ゼーロ」という、2種の強力なループデッキが跳梁跋扈する事態となった「デュエキングWDreaM 2025」発売翌週のオリジナル環境。
そんな状況においてもしかし、「サイバー」と「ゼーロ」以外のデッキを2面ずつチームに組み込んで、なおここまで勝ち上がっているチームがあった。
モンモ_「フィーチャーっていつも有名人ばっかですよね……何で呼ばれたんだろ……」
1/3「あ、じゃあもしかしてめっちゃお強いとか?」
モンモ_「いやいや!全然です、全然……」
カラバリア、モンモ_、川上のカワウソの3名で構成される関西勢チーム、どんぶらこ。
それに対し、ユウ*、1/3、転寝(うたたね)の3名で構成される東海勢チーム、泥濘鳴鳴。彼らはいずれもおそらく、これまで大型大会でフィーチャーマッチに呼ばれるような経験はなかったのだろう。CSに出始めたのもここ1~2年で、競技歴も長くない。そしてだからこそ、見た人の記憶に残る姿で写真に写ることを選択した。実績やアピールのないプレイヤーがフィーチャーマッチに呼ばれる確率はそう高くはない。
ならば、この一瞬が少しでも輝くように。
全国的には、彼らはいまだ無名。しかしここで勝ち上がれば、その名を轟かせることができるかもしれないのだ。トップ16進出をかけ、環境に抗う者たちの存在証明が始まった。
B卓:モンモ_ vs. 1/3
モンモ_「良い勝負をしましょう」予選順位の差で先攻となった1/3が《理想と平和の決断》《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》とチャージしつつも動きがないのに対し、モンモ_は《アストラルの海幻》チャージから《フラワー・ハート》を送り出すと、続くターンには《黄昏ミミ&トワイライトMk.3 ー挑戦のヒロインー》チャージから《アストラル・ハート》を重ね、3ドローで順調に手札を拡充する。
しかし返す1/3のマナチャージを見て、モンモ_が目を見開いた。そのカードは……《スロットンの心絵》!
モンモ_「おっほ、ライオネルかー!出たー、メタデッキが……」受けの堅い「光水ライオネル」に対し、《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》の「ジャストダイバー」頼みのアグロ(殴りきる)プランはさすがに通せない。幸いにして相手は《Dの天災 海底研究所》を引けておらず、ループを狙うしかない。そんな心境からか、返すモンモ_は《アストラルの海幻》をチャージすると再び《アストラル・ハート》を重ね3ドロー。コンボパーツを引き込みにいく。
だが、返す1/3は《理想と平和の決断》でカードを補充しながら下のカードごと《アストラル・ハート》を楯送りにする。モンモ_の側は次のターンにマナチャージしても4マナしかなく、これだと《フラワー・ハート》+《マクスハト》or《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》の組み合わせでしかループスタートができないため、強力な一手だ。
はたしてモンモ_の手札にはその組み合わせが揃って……は、いない。そしてその様子を見た1/3は手札をA卓のユウ*に見せて「ターンが返ってくればいけそう」と口には出さずとも状況を共有する。ターンを返したら《スロットンの心絵》から《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》までつなげられてしまう……しかし、まだやれることはあった。《Dの天災 海底研究所》チャージから《シュトラ》!これで1ターンを稼ぎ、その1ドローで状況を変えられればというところ。
とはいえ1/3もそれならばと《理想と平和の決断》を回収2回で唱え、4ドロー。モンモ_にとっては、いよいよ後がない。そしてモンモ_は……手札をA卓のカラバリアに見せると、相当に事故った内容なのか、「こりゃ無理だ」と苦笑。《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》をマナチャージして《Dの天災 海底研究所》を設置し、うっかりターンが返ってくるワンチャンスに賭ける。
しかしここから、1/3の圧巻の連鎖が始まる。《スロットンの心絵》から《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》。効果で《邪脳の魔法陣》を出し、墓地から《理想と平和の決断》。《Dの天災 海底研究所》を楯送りにしつつ2ドロー。さらに《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》効果で《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》。その登場時効果で《ジョーカーズの心絵》!
モンモ_「わりぃ、死んだかも……」
さらに効果解決後、《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》効果で着地したのは……。
《MAX・ザ・ジョニー》!楯送りしたためにS・トリガーがないことが確定している部分をブレイクしつつの綺麗なEXウィンを受けてモンモ_の紳士的な拍手が響く中、1/3は両脇へと軽快に報告を届けたのだった。
1/3「勝ちましたー!」
Winner: 1/3
C卓:川上のカワウソ vs. 転寝(うたたね)
彼らは与り知らぬことだが、実のところこのフィーチャーマッチ選定理由の一つはこの異色のマッチアップにあった。ゆえに配信卓となったのもこのC卓となった。先攻の転寝(うたたね)がチャージしたのは《轟く邪道 レッドゾーン》。対して川上のカワウソは……《芸魔隠狐 カラクリバーシ》!?
転寝(うたたね)もさすがに驚きの表情。「火水マジック」といえばかつては一世を風靡したデッキだったが、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の殿堂とともに下火となったアーキタイプだった。それが特に大きな強化も来ていないはずなのに選択され、ここまで勝ち上がっているとは誰が予想できただろうか?
だが異色の理由は転寝(うたたね)の側にもある。マナチャージしたのは《無頼BEN-K1000》。環境デッキの中でこの3文明、しかも非ドラゴンで進化マターも活用となれば、「火光自然サムライ」以外に考えられない。
かくして実現したのは、両者ともにほぼ練習してきていないだろう未体験の領域。それでも川上のカワウソは落ち着いて《Dの天災 海底研究所》を設置し、進化戦略に対してブレーキをかけられる牽制の一手から入る一方、転寝(うたたね)はならばと《場和了GO-YAMA-58》チャージから《PP-「P」》を召喚。2ターン目にクリーチャーを出してこなかった川上のカワウソに対し、先攻の利を押しつける。
返す川上のカワウソは《飛翔龍 5000VT》チャージから《アシスター・Mogi林檎》を着地させつつ、《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》の呪文側で「3」を指定し《PP-「P」》の動きを止める。しかしタップクリーチャーが作れなかったことで、転寝(うたたね)に2マナブースト1回収を許してしまう。回収したのは《竜牙 リュウジン・ドスファング》。となれば、続く展開は当然……。
《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》から《竜牙 リュウジン・ドスファング》!
ただ、「サムライ・メクレイド」の結果は《ROYAL-減亜5》と外れ気味。《無頼BEN-K1000》をマナに置いて1ドローののち、《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》の能力でシールドをブレイクするが、追加の展開はなくターンエンド。《PP-「P」》が攻撃できていたならというところだったが、ここは前のターンの川上のカワウソのプレイが冴え渡った形だ。
しかし、盤面の展開では圧倒的不利という状況には変わりがない。「革命チェンジ」を多用する「火水マジック」で、《PP-「P」》がどこまでも重い。返すターンは《芸魔王将 カクメイジン》チャージからの《氷柱と炎弧の決断》で手札を補充するが、ターンエンドには再び《PP-「P」》の能力で2マナブースト1回収が走る。ここでは《試算の妖精》を回収。
《無頼BEN-K1000》の登場時能力で《PP-「P」》を下に敷きつつ、さらにその上に《一音の妖精》まで重ねると、攻撃の準備は整った。《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》に《竜牙 リュウジン・ドスファング》をまとわせ、攻撃時に《試算の妖精》の「D・D・D」を宣言しながら「サムライ・メクレイド」。《BARUGA-雷座87》が《ROYAL-減亜5》の上に「NEO進化」する。さらに《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》の攻撃時効果で《アシスター・Mogi林檎》を破壊しつつ、《試算の妖精》が横に着地。そしてついに《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》のW・ブレイク。《Dの天災 海底研究所》があるおかげでこのターンは総攻撃できないとはいえ、既に盤面は盤石となりつつある。川上のカワウソとしては切り返しの手段が欲しい。チェックした2枚のシールドの中には……。
《氷柱と炎弧の決断》!ドローしながら《アシスター・Mogi林檎》が着地する。反撃の狼煙となるか。
川上のカワウソの、事実上のラストターン。5マナ目をチャージし、まずは《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》の呪文側で《一音の妖精》を除去。行動の自由は取り戻した。……だが手札のかみ合わせが悪く、それ以上のアクションがとれない。やむをえずターンエンドを宣言すると、《PP-「P」》がこのゲーム3回目の2マナブースト1回収で、1ターン目にチャージしていた《轟く邪道 レッドゾーン》が転寝(うたたね)の手に舞い戻る。
そうなれば後はやりたい放題。《試算の妖精》の上に再びの《一音の妖精》を乗せた後、さらにその上に《PERFE910-御代紅海》を重ねて攻撃準備は万端。《BARUGA-雷座87》に《竜牙 リュウジン・ドスファング》を装備させて攻撃しつつ、《轟く邪道 レッドゾーン》の「D・D・D」も宣言。「メクレイド」でさらなる《PERFE910-御代紅海》を《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》の上に重ねた後、「メテオバーン」でマナから《一音の妖精》をその上に重ね、離れない《一音の妖精》が爆誕。その状態で「D・D・D」が解決して《BARUGA-雷座87》の上に重なり、アンタップしながらのT・ブレイク。圧倒的な打点形成能力で、転寝(うたたね)がチームの勝利を決定づけたのだった。
Winner: 転寝(うたたね)
A卓:カラバリア vs. ユウ*
先攻のユウ*が《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》をチャージして「ゼーロ」系であるとの自己紹介を終えたのに対し、カラバリアも《激烈元気モーニンジョー》からの《トレジャー・マップ》でこちらも「ドリームメイト」です、と自己紹介。ただ回収は《激烈元気モーニンジョー》であまり芳しくはない様子。さらにユウ*が《戦国接続 ギャラクテスト・シデンシーザー》をチャージするのみなのに対し、《配膳犬のトレス》で《激烈元気モーニンジョー》《ピザスターのアンティハムト》《トレジャー・マップ》という3枚から《ピザスターのアンティハムト》を回収する。
そしてユウ*が《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》で手札を減らさずに《配膳犬のトレス》を除去すると、返しでカラバリアも《料理犬のヴィヤンドゥ》の「マッハファイター」で除去返し。両者一歩も譲らない。
ここで返すユウ*が《真気楼と誠偽感の決断》をチャージするのみでターンエンドとなったところで、カラバリアは《ピザスターのアンティハムト》をチャージしつつ《PP-「P」》を召喚。《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》をケアして《料理犬のヴィヤンドゥ》を「ハイパー化」し、《闇王ゼーロ》を牽制しながらアドバンテージの獲得を目論む。
しかしユウ*のアクションは《アーテル・ゴルギーニ》!-4000で《PP-「P」》を処理しつつ《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》蘇生により《料理犬のヴィヤンドゥ》も除去という完璧な回答で、カラバリアの目論見を粉砕する。それでも返しでカラバリアが再び《PP-「P」》を召喚すると、ユウ*も《サイバー・J・イレブン / 「みんなと戦えてよかった♥」》の呪文側だけ唱えたのち、《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》でシールドブレイク。《PP-「P」》の能力起動を防ぎにいくしかない。この隙にカラバリアは《お目覚めメイ様》+《料理長のラビシェフ》と動いて手札を補充。勝負はまだ、わからない。
だがここでユウ*は5マナから《DARK MEMORY CONTAINER》を通常召喚すると、《PP-「P」》がいるにもかかわらず《闇王ゼーロ》を宣言!その意図は別にあった。破壊した《アーテル・ゴルギーニ》をそのまま蘇生し、能力で《冥土人形ヴァミリア・バレル》と《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》をも蘇生すると、《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》で《PP-「P」》を、《冥土人形ヴァミリア・バレル》で《お目覚めメイ様》をそれぞれ対処。カラバリアのリソースを、徹底的に削る。
それでも返すカラバリアは《配膳犬のトレス》を召喚。1枚ずつ気合を入れてめくる……のだが、めくれが弱かったか「はぁー……」とため息を吐き出しつつ《料理長のラビシェフ》を回収するにとどまる。
……と、ここでB卓・C卓ともに泥濘鳴鳴が勝ったため、チームの勝敗は確定。ジャッジに続けるか確認されるが、両者ともに迷わず「最後までやりたい」ということでゲーム続行。
そのまま《お目覚めメイ様》《森夢のイザナイ メイ様》と並べると、「ハイパー化」してターン終了時に「光臨」を解決。ひとしきり山札を確認したのち、この絶望的な状況からの唯一の逆転策をチームメイトに提示する。モンモ_「……勝つにはそれしかないっす。覚悟決めていただかないと」
「光臨」の選択は《ピザスターのアンティハムト》。もしそのドローが、3枚目の《PP-「P」》ならあるいは。
山札から引き込んだ1枚を、2人が同時に確認し……。
モンモ_「……www」
カラバリア「……出ません!w ターンエンド!!」
かくして一切の呪縛のない状態でターンが返ってきたユウ*は、《ブレイン・スラッシュ》手打ちから《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》蘇生。《DARK MEMORY CONTAINER》が2体舞い戻り、そのまま《闇王ゼーロ》。あとは詳細をここに記すまでもなく、《サイバー・J・イレブン / 「みんなと戦えてよかった♥」》が、恒例の「みんなと戦えてよかった」を決めたのだった。
Winner: ユウ*
Winner Team: 泥濘鳴鳴
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カラバリア DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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モンモ_ DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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川上のカワウソ DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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ユウ* DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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1/3 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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転寝(うたたね) DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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