デュエル・マスターズ

メニュー
商品情報

超CSⅦ広島:メタゲームブレイクダウン

ライター:齋藤 陽(あーくん)

はじめに

 8/3(土)に行われた超CSⅦ in横浜から3週間。

 3週間の間に『ドリーム英雄譚デッキ』が世に放たれ、新たな殿堂入りカードや殿堂解除のカードも発表された。

 3週間という長い時間を与えられたプレイヤー達は様々なデッキを研究し、この大会に望むことになる。

 まずはTOP128に入賞したデッキを確認しよう。

TOP128デッキ分布

23 【ファイアー・バード】
22 【ドリームメイト】
15 【光水ヘブンズ・ゲート】
11 【グラスパーループ】
8 【水闇自然DOOM】
8 【水闇COMPLEX】
5 【マーシャルループ】
5 【火光水ゴスペル】
4 【4cドラゴン】
3 【5cザーディクリカ】
3 【水闇ヴォゲンム】
3 【水闇自然ジャオウガ】
2 【水自然キャベッジ】
2 【ハザード退化】
2 【水自然ジャイアント】
2 【水魔導具】
2 【4cヘブンズ・ゲート】
1 【ジョーカーズ】
1 【光火バクテラス】
1 【光自然ヘブンズ・ゲート】
1 【オボロティガウォック】
1 【4c邪王門】
1 【5c蒼龍】
1 【闇単XENARCH】
1 【闇単アビス】

 前回の超CSでは約1/4を占めた【ファイアー・バード】だったが今回は全体の1/6ほどに抑えられている。

 その数も二番手の【ドリームメイト】とほとんど変わらない数字だ。

 これはプレイヤーたちが【ファイアー・バード】を攻略しつつあると読み取れるのではないか?

 そんな仮説がよぎったため、プレイヤーたちに以下の質問をしてみた。

Q.この環境で一番強いデッキは何?
「【ファイアー・バード】が最強だと思うよ」
「一番強いデッキ?【ファイアー・バード】かなあ」
「順当に考えるなら、【ファイアー・バード】でしょ。順張り順張り」

 デュエチューブリーグに出場している選手を始め、様々なプレイヤーに訊ねたが、一様にこのような答えが返ってきた。どういうことだろうか。

 ここまで様々なデッキが勝っているのだから、その答えは多様になると予想した。しかし結果としては

Q.この環境で一番強いデッキは何?
A.【ファイアー・バード】

ということになる。
 会場内のほぼ全員が【ファイアー・バード】を最強のデッキだと捉えている。もはや共通認識として根付いており、そうでない回答は本当にわずかしかない。

 それであれば、前回大会からここまで数を減らしてしまったのはなぜか。

 今回は各デッキの特徴とプレイヤー達の意図を聞きながら、その理由について見ていこうと思う。

【光水ヘブンズ・ゲート】

 斬札ガッツ
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 18 クリーチャー
4 《光開の精霊サイフォゲート》
2 《聖霊超王 H・アルカディアス》
2 《閃光の精霊カンビアーレ》
1 《飛翔龍 5000VT》
1 《ガル・ラガンザーク》
1 《冥界を統べる新月のハーデス》
4 《闘門の精霊ウェルキウス》
3 《∞龍 ゲンムエンペラー》
 11 ツインパクト
4 《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》
4 《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》
3 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》
 11 呪文その他
2 《ケンザン・チャージャー》
2 《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》
4 《理想と平和の決断》
3 《ヘブンズ・ゲート》


 2024夏、【ヘブンズ・ゲート】は《巨大設計図》を軸にしたいわゆる【巨大天門】から脱却し、水文明を取り入れた。
 なぜ文明を変えたのか。大きく3つの理由が挙げられる。

 まずは《理想と平和の決断》により、手札補充と除去を兼ね備えられるようになったこと。
 これにより《ハッター・ルピア》《ハンプティ・ルピア》という両方の攻め筋に対抗できるようになっている。

 次に、水文明の特権である、《飛翔龍 5000VT》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》という二種類の罠を採用できること。

 それぞれロック効果とSTという強みを持っているこのカード群は、 慣れているプレイヤーでも中々に困難であり対戦相手に不自由な行動を強要させる。

 最後の理由は殿堂発表により【火水マジック】が環境から消えたことである。

 これにより、多少速度が遅くても受けが強いという主張点を十分に通せるようになった【光水ヘブンズ・ゲート】は人気を博し、超CSⅦ in広島におけるメタゲームの一角を担っていた。

 その結果15人の予選通過者を排出したが、ベスト16の段階で誰一人として勝ち残ることはできなかった。

 この理由について、チームSAGAの頭脳であるおんそくはこう語る。

 「今の環境はみんなが【ファイアー・バード】を受けるつもりでいる。だから、【天門】に限らずシールドトリガーは厚くなるし、シールド・トリガーが厚いデッキを貫通する手段も意識して選ばれるようになってるね」

 つまり【ヘブンズ・ゲート】は【ファイアー・バード】を意識したデッキ選択ではあるものの、それ自体が意識される側になってしまったのだ。
 そういったポジションの変化により今大会では勝ち切ることができなかったのだろう。

【ドリームメイト】

 あかべこ
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 36 クリーチャー
4 《お目覚めメイ様》
4 《ベイB セガーレ》
2 《Disガンバ》
4 《配膳犬のトレス》
4 《森夢のイザナイ メイ様》
4 《ピザスターのアンティハムト》
3 《料理犬のヴィヤンドゥ》
1 《お騒がせチューザ》
3 《激烈元気モーニンジョー》
3 《料理長のラビシェフ》
4 《料理猫のプワソン》
 4 呪文その他
4 《トレジャー・マップ》


 【ファイアー・バード】と【ヘブンズ・ゲート】以外のデッキとなった時、次に選択肢に上がるのはこのデッキだろう。
 殿堂発表以後、一大勢力となったデッキがこの【ドリームメイト】だ。

 予選ラウンドでも非常に多くのプレイヤーが使用し、決勝トーナメント進出人数も僅差で2位という結果を叩き出した。

 【ファイアー・バード】の強みの一つは、そのゲーム速度が速すぎることだ。
しかし、【ファイアー・バード】に対して同速、ないしより高速でゲームを仕掛けることができれば、優位にゲームを進めることができる。

 そんな夢物語を叶えるのが《森夢のイザナイ メイ様》の光臨と、《料理犬のヴィヤンドゥ》による小型クリーチャーの否定だ。
これらの展開力を活かすことで最速2tに登場する《料理長のラビシェフ》の押し付けはこのデッキの評価を確固たるものとした。

 また、《お目覚めメイ様》によるEXWINはシールドをブレイクしないことは様々なSトリガーが採用されているこの環境では、圧倒的な魅力となりえる。  ばんぱくやリルクといった関東のランカー達は、【ドリームメイト】を使った最大の理由として「立ち位置の良さ」と言い切った。デッキパワーが高く、ポジションの良さに目をつけた故の選択。というわけだ。

 しかし、おんそくやカバレージライターの経験もあるげんじは、【ファイアー・バード】ではなく、【ドリームメイト】こそが順張り、王道のデッキ選択だと論じる。

 そもそも、超高速の押し付けとEXWINの強烈さを備えたデッキこそ最強なのだ。これは立ち位置ではなく地力が高いデッキだから強い。

 事実このハイパワーなデッキを使いこなしたあかべこは見事決勝まで勝ち残り続けた。

青く輝く三種の神器

 《飛翔龍 5000VT》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》に加えて、水文明はもう一つ追加で仕掛けを使うことができる。

 それが《流星のガイアッシュ・カイザー》だ。  《飛翔龍 5000VT》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》だけであれば、極論としてバトルゾーンのクリーチャー数を意識するだけで被害を最小限に抑えることができる。

 しかし、そこに《流星のガイアッシュ・カイザー》まで加わると、クリーチャーの展開方法すらも阻害されてしまう。この罠は、主に【ドリームメイト】に強く突き刺さった。

 そして《流星のガイアッシュ・カイザー》を上手く組み込めるデッキの一つが、この【グラスパーループ】だ。

【グラスパーループ】

 チームSAGAのZweiLanceや、中部の強豪のアーチー、魔王軍に所属しているカイザといったプレイヤーが今回選択したのはこのデッキだった。

 ZweiLance
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 21 クリーチャー
4 《グレート・グラスパー》
4 《流星のガイアッシュ・カイザー》
4 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》
3 《飛翔龍 5000VT》
2 《終末の監視者 ジ・ウォッチ》
2 《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》
1 《エンペラー・キリコ》
1 《水上第九院 シャコガイル》
 3 ツインパクト
3 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》
 16 呪文その他
4 《フェアリー・Re:ライフ》
4 《地龍神の魔陣》
3 《蓄命呪文「ガッツシル・チャージャー」》
3 《フェアリー・ソング》
2 《ジャスミンの地版》


 アーチー/はっちcs
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 20 クリーチャー
4 《グレート・グラスパー》
4 《流星のガイアッシュ・カイザー》
4 《蒼狼の王妃 イザナミテラス》
3 《飛翔龍 5000VT》
2 《水上第九院 シャコガイル》
2 《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》
1 《エンペラー・キリコ》
 3 ツインパクト
3 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》
 17 呪文その他
4 《フェアリー・Re:ライフ》
4 《地龍神の魔陣》
4 《ドンドン水撒くナウ》
3 《神秘の宝箱》
2 《フェアリー・ライフ》



 「俺も普段は順張りのほうが好きやねんけどな。結局、マジックは勝たんかったやん?意識されてるってことはこうやって(意識から)外すのもアリやと思うねんな」と、カイザは話す。

 曰く、大型大会において、意識されているデッキやシールドを積極的にブレイクするデッキはデッキの強さが飛び抜けていても勝ち切ることが難しい。というのが今回のカイザの見解だという。

 対して【グラスパーループ】は安定したループフィニッシュにより、《ヘブンズ・ゲート》や≪「真実を見極めよ、ジョニー!」≫などのシールドトリガーの影響を受けず、文明を絞ることで水文明の三種の神器を最大限採用できる。

 その他、自分はシールド・トリガーを採用することもできるのだから、理論上は全対応。というわけだ。

 環境の変わり目に強くなる。なんて通説もあるこのデッキは、結果として11人の予選突破者を排出した。

 殿堂発表直後でメタゲームが固まりきっていない今大会では非常に立ち位置が良かったと思われる。

【水闇自然DOOM】

 けみー
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 32 クリーチャー
4 《キャディ・ビートル》
3 《異端流し オニカマス》
3 《飛翔龍 5000VT》
4 《天災 デドダム》
2 《奇天烈 シャッフ》
4 《アーテル・ゴルギーニ》
4 《流星のガイアッシュ・カイザー》
3 《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》
1 《大樹王 ギガンディダノス》
4 《超神星DOOM・ドラゲリオン》
 8 ツインパクト
4 《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》
2 《雪溶の鎖 / 堕牛の一撃》
2 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》


 《流星のガイアッシュ・カイザー》が強いのであれば、その能力を最大限活かしたデッキを使用できるデッキが最強である。

そう信じたプレイヤー達が選んだのが【水闇自然DOOM】だ。
 闇文明を採用することで、クリーチャーロックの代表である《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》を使うことができる。  それだけではなく、《アーテル・ゴルギーニ》《天災 デドダム》といったパワーカードも採用できるのだから、文明を増やすことに十分なメリットがあるといえるであろう。

 フィニッシャーを軽減できるということで自分から押し付けるような動きが取れることや、コントロールするゲームプランを選ぶなど、近いコンセプトの【グラスパーループ】より柔軟なデッキになっているため、後手後手になってしまったゲームを制しきる地力の高さもプレイヤー達にとっては嬉しいポイントだろう。

【水自然キャベッジ】

dotto「この環境、2022年にあったJO環境に似てるんだよね。最強のデッキはミラーで差がつきにくいし、そもそも色んな方法でメタられてる。」

 全員が【ファイアー・バード】を最強と考えているということは、当然包囲網も厚くなるし、ミラーマッチだって避けられない。そこで差がつかないのであれば、優勝を狙うのは難しい。

 そう考えたdottoは、最強以外のデッキに視線を向けた。

 dotto
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 18 クリーチャー
4 《ボント・プラントボ》
4 《地封龍 ギャイア》
3 《飛翔龍 5000VT》
2 《終末の監視者 ジ・ウォッチ》
2 《デスマッチ・ビートル》
2 《龍装者 ジスタジオ》
1 《強振の超人》
 18 ツインパクト
4 《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》
4 《地龍仙ロマネアース / 仙なる大地》
4 《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》
4 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》
2 《イチゴッチ・タンク / レッツ・ゴイチゴ》
 4 呪文その他
4 《ジャンボ・ラパダイス》


dotto「【ファイアー・バード】はちょっとキツイけど、それ以外には全部勝つよ。グルメ墓地みたいな感じかな」

 自信を持ってそう言い切ったデッキが【水自然キャベッジ】だ。

 《ジャンボ・ラパダイス》による大量ドローと《ボント・プラントボ》によるマナブースト。

 今までノーマークのデッキではあったが言葉通り【グルメ墓地ソース】を彷彿とさせる暴力的なリソース基盤に、《飛翔龍 5000VT》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》コンビが入っているとなると、確かに強力なデッキであることは間違いないだろう。このデッキが今後も環境に残るかは要注目だ。

【ハザード退化】

 篠田ひなた
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 24 クリーチャー
4 《禁断英雄 モモキングダムX》
4 《天災 デドダム》
1 《Disジルコン》
4 《ハンプティ・ルピア》
2 《聖霊超王 H・アルカディアス》
1 《砕慄接続 グレイトフル・ベン》
2 《飛翔龍 5000VT》
2 《闇参謀グラン・ギニョール》
4 《自然の四君子 ガイアハザード》
 2 ツインパクト
2 《竹馬の超人 / テイクバック・チャージャー》
 14 呪文その他
1 《次元の霊峰》
4 《生魂転霊》
3 《S・S・S》
2 《新世界王の権威》
2 《新世界王の思想》
2 《新世界王の闘気》


 2022年の夏に似ている環境。その言葉が正しければ、このデッキが再び台頭してきたのも必然なのではないか。

 《禁断英雄 モモキングダムX》《生魂転霊》による《自然の四君子 ガイアハザード》の早期踏み倒しを主軸にした重量コントロールデッキが【ハザード退化】である。

 【JO退化】や【グルメ墓地ソース】と競い合っていた環境以来すっかり鳴りを潜めていたが、《聖霊超王 H・アルカディアス》《ハンプティ・ルピア》という全く別の方向から出てきた優秀なカードを取り込み、環境に適応したのだ。

 5色デッキかつコンボを兼ね備えたコントロールデッキということでデッキの操作難易度は非常に高いものになっているが、正しくプレイできたときの制圧力は非常に高いものであっただろう。結果としてTOP128に2名が進出。そのまま2人ともがTOP16まで勝ち進み、篠田ひなたは見事TOP8に入賞した。

【火光水ゴスペル】

 風呂りー
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 5 クリーチャー
4 《水晶の王 ゴスペル》
1 《時の法皇 ミラダンテⅫ》
 5 ツインパクト
4 《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》
1 《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》
 30 呪文その他
4 《キリモミ・ヤマアラシ》
4 《バッドドッグ・マニアクス》
4 《勇愛の天秤》
4 《オリオティス・ジャッジ》
4 《氷柱と炎弧の決断》
3 《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》
2 《バーニング・フィンガー》
2 《T・T・T》
2 《ファイナル・ストップ》
1 《セイレーン・コンチェルト》


 超CSⅦ in横浜ではTOP128の進出率3位を記録した当デッキだが、今回は勢いを落としてしまった。

 【光水ヘブンズ・ゲート】が使用する《∞龍 ゲンムエンペラー》、そして《聖霊超王 H・アルカディアス》のロック能力が致命的になる試合が多いため、使用を避けられるようになったというのが実態である。


 結果的に【光水ヘブンズ・ゲート】以外からは、【火光水ゴスペル】へのガードは下がっていた。というのが一つの現象として現れてしまった。

 そして【光水ヘブンズ・ゲート】が狩られる側に回ってしまった本戦トーナメントでは、デッキの地力を活かしてしっかりと勝ち進み、TOP16に2人を送り出した。

【ファイアー・バード】

 愚っちゃん
 超CSⅦ広島
 オリジナル構築
 36 クリーチャー
4 《マジシャン・ルピア》
2 《ヤット・パウル》
4 《ルピア&ガ:ナテハ》
2 《アシステスト・インコッピ》
1 《コッコ・武・ルピア》
4 《ハッター・ルピア》
4 《ハンプティ・ルピア》
3 《ポッピ・冠・ラッキー》
4 《雷炎翔鎧バルピアレスク》
4 《龍后凰翔クイーン・ルピア》
4 《アリス・ルピア》
 4 呪文その他
4 《アリスの突撃インタビュー》


 超CSVIIにおいて、最も結果を残したのは下馬評通り【ファイアー・バード】だった。

Q.この環境で一番強いデッキは何?
A.【ファイアー・バード】

 ここまでは、最初に話した通りだ。プレイヤー達の中でもほとんどブレがない。
 では、質問を変えよう。

Q.この環境で意識したデッキは何?

 ここまでのプレイヤー達の話を合わせるとこうなる。

A.【ファイアー・バード】と【ドリームメイト】と【光水ヘブンズ・ゲート】と……

 ブレまくりだ。皆がそれぞれ違う方向を見ている。
 そうなるとあとは単純な話になってくる。  【ドリームメイト】を意識したデッキを【ファイアー・バード】が仕留め、【ヘブンズ・ゲート】を意識したデッキを【ファイアー・バード】が焼き尽くした。

 《流星のガイアッシュ・カイザー》《ハッター・ルピア》が止め、《飛翔龍 5000VT》《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》はプレイヤースキルで見極める。

 【火光水ゴスペル】と同じく、結果的にガードが下がり、ミラーを避けられた結果、いつの間にか【ファイアー・バード】がその実力を発揮し切るためのフィールドが整っていたのだ。

 もちろん意識はされている。しかし、他にも目を向けているような意識の割き方で止まり切るようなデッキであれば、そもそもプレイヤー達の中でも共通の最強になることはないのだ。

 想定よりも包囲網が薄かった【ファイアー・バード】は、その翼を羽ばたかせ広島の地を自由に駆け巡ることができた。

 最終的にTOP8に4人。優勝と3位とこれ以上ないほどの結果を叩き出したのだ。

おわりに

 【ファイアー・バード】は最強のデッキであったため、この3週間、プレイヤー達は【ファイアー・バード】を意識し続けた。

 その結果、【水闇COMPLEX】が増え、【光水ヘブンズ・ゲート】が増え、【ドリームメイト】が増え、【グラスパーループ】が増え……と、意識が少しずつズレいったのだ。

 中心には常にファイアー・バードがいたが、そこからどの方向に一歩目を踏み出すかはプレイヤーにより異なり、その結果が今回の広がりきったメタゲームだったと言える。

 この結果を受けたプレイヤー達は【ファイアー・バード】を使うのか。【ファイアー・バード】を意識するのか、はたまた【ファイアー・バード】以外を倒しに行くのか。改めて自分なりの答えを見つける糧になってくれれば幸いである。
PAGE TOP

TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY