DMGP2025-2nd :事前メタゲーム総括記事 アドバンス編
ライター:横山 球志(◆ドラ焼き)
デュエル・マスターズはもう少しで25周年を迎える。その歴史の中で多様な遊び方が考案され、親しまれてきた。トッキュー8、構築済みデッキの10枚改造戦、マーク限定構築戦、2ブロック、オリジナル、シールド戦、殿堂ゼロ、レアリティ限定デュエマ、デュエパーティー……、もっとローカルな遊ばれ方もあるだろう。そしてこれからも遊び方は多様化し、より多くの人に親しまれることは間違いない。
そしてここに競技的な遊び方の中で最も難解とされる遊び方がある。それが、アドバンス。
超次元ゾーンによる複数の選択肢、GRゾーンの確率計算、禁断・ドルマゲドン・零龍という最初から場にあるカードの存在。そういった要素がゲームを複雑にしているのかもしれない。
……しかし、本当にそうだろうか?
デッキパワーが足りないのなら、《“魔神轟怒”万軍投》や《双龍覇王 モルトVERSUS》で補完すれば良いじゃないか。
押し込み力が足りないのであれば、≪伝説の禁断 ドキンダムX≫で追撃すれば良いじゃないか。
デッキの枚数が足りないのなら《13番目の計画》でデッキ枚数を増やせば良いじゃないか。
フィニッシュ手段に困ったら無限GR召喚で《アカカゲ・レッドシャドウ》と《カット 丙-二式》で勝てば良いじゃないか。
刺激的なゲームがしたいのなら《ラッキー・ダーツ》と《オールデリート》なんてどうだろう?《煌銀河最終形態 ギラングレイル》だってある。
そう、アドバンスは最も自由なレギュレーションなんだ。
この記事では、DMGP2025-2ndで活躍するであろうデッキについても紹介する。それと同時に、それぞれのデッキがどのような“アドバンスならではの要素”を持っているのかを紹介しよう。
尚、この記事では”アドバンスならではの要素”のことを”味”と表記することにする。
【光水自然Drache der’Bande】
味:《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》によるリーサルプラン、《禁断 ~封印されしX~》によるデッキ圧縮と《オールデリート》対策|
光水自然ドラッヘ DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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まずはオリジナルでも活躍している【光水自然Drache der’Bande】。アドバンスではこのデッキはオリジナル以上の出力を持つ。
その理由は《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》のP侵略だ。
オリジナルにおいて《俳句爵 Drache der’Bande》でリーサルを作るにはアンタップ呪文と、アンタップ呪文を使える呪文が必要となる。(例:《煙幕の聖沌 k3mur1 / 聖沌忍法 メカくしの術》+《失われし禁術の復元》でリーサルが可能となる)
しかし、アドバンスでは、《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》のP侵略を絡めることで、《煙幕の聖沌 k3mur1 / 聖沌忍法 メカくしの術》2枚のみでリーサル(トドメまでの打点を揃えること)が可能となる。また、このデッキの天敵となる《裏斬隠 テンサイ・ハート》に対しても、6コストの《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》が重宝する。
デッキ内にコスト6のカードが少ない相手であれば、早々に《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を使ってシールドを割り切り、リーサルを見据えることができる。また、タップ効果ももちろん強力で、《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》や《ARC REALITY COMPLEX》などを牽制することができる。
これは余談だが、《禁断 ~封印されしX~》の採用も味だ。採用することで、《俳句爵 Drache der’Bande》を引き込みやすくなり、かつ、相手が《オールデリート》を使うデッキだった場合にも重宝する。この場合は《運命の選択》などのデッキから直接サーチするカードが使いづらくなる点には注意しよう。
アドバンス環境においては現環境でもトップクラスのデッキパワーをもっており、かつ、オリジナルと比べると天敵である《裏斬隠 テンサイ・ハート》の採用率もそこまで高くはない。今大会のメタゲームの中心となるデッキと見て間違いないだろう。
【水単サイバー】
味:《禁断 ~封印されしX~》を採用したアグロ型、《電流戦攻セブ・アルゴル》。|
水単サイバー DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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オリジナルで現環境最強と名高い【水単サイバー】。中でも《魔誕の悪魔デスモナーク》や《喜像エル》を採用するアグロ型についてから見ていこう。


2コストを引けない試合でも《マクスハト》が使いやすいことはもちろん、クリーチャーが横並びしやすくなるし、相手の除去カードによって《マクスハト》が妨害されるということもなくなる。アドバンスのアグロ型サイバーに対して、除去は通用しないのだ。その分S・トリガーに弱い、などの弱点はあるが、それを加味しても強力なデッキであると言えるだろう。
なら、アドバンスではサイバーはアグロ一択なのか?と聞かれると、もちろんそんなことはない。ループ型も十分なデッキ強度を持っている。
また、味要素として《電流戦攻セブ・アルゴル》があることも紹介しよう。《電流戦攻セブ・アルゴル》によって≪勝利の頂上 ヴォルグ・イソレイト6th≫を出せば、自分のマナや墓地のカードを自由に使えるようになるし、《時空の支配者ディアボロス Z》の覚醒条件を使えば相手の山札切れまで待つことも可能だ。
アドバンス環境で最後まで勝ち残る【水単サイバー】がどのような構築になるのか?オリジナルと同じか、アドバンスでしか存在し得ない構築か、その結論から目が離せない。【火闇自然バイク】
味:《禁断 ~封印されしX~》の採用により、墓地が増え《アーテル・ゴルギーニ》や《魔誕の封殺ディアス Z》を強く使うことができる|
火闇自然バイク DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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オリジナルで【水単サイバー】と2強とも言われている【火闇自然バイク】。《禁断 ~封印されしX~》を採用することで、《轟速 ジャ・レッド》や《魔誕の封殺ディアス Z》が登場する度に封印が外れ、その墓地を活かした攻めが可能となる。


また、ご存知の方も多いと思うが、《アーテル・ゴルギーニ》はアドバンスにおいてブロックされないT・ブレイカーである。(≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫)にP革命チェンジが可能なため)
デッキの立ち位置はというと、【水単サイバー】への相性は良いものの、【光水自然Drache der’Bande】にはどうしても遅れを取る面がある。そういう意味では、アドバンスの環境に合わせた独自チューニングが必要とされるかもしれない。【モルトDREAM】
味:ドラグハート|
モルトDREAM DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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無数の剣を使い分けるアドバンスの雄、【モルトDREAM】。
《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて!モルト!!」》+《夢双龍覇 モルトDREAM》の最強パッケージで《地封龍 ギャイア》、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》といった、相手の受けや次のターンの動きを封殺カードへアクセスし、安全な勝利を狙うデッキだ。






受けの要素や、封殺要素でどこまで渡り合えるか、その地力の強さに期待したい。
ここまで取り上げてきた4つのデッキが筆者が考える「アドバンス4強」だ。ここからはそれらに追随するデッキを見ていこう。
【火光自然ドリームメイト】
味:《頂上の王龍 ヴィル・ド・テラ》|
火光自然ドリームメイト DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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オリジナル環境で、【水単サイバー】、【火闇自然バイク】に勝てるデッキとして注目されているデッキだが、アドバンスでもその強みを発揮する。
懸念があるとすれば、【モルトDREAM】に《双龍覇王 モルトVERSUS》が採用されるようになり、《PP-「P」》や《ベイB セガーレ》などのマナの枚数参照のメタ(妨害)カードの刺さりが悪くなったこと、そしてオリジナルと違い【光水自然Drache der’Bande】がTier1に居ることが挙げられる。
《とこしえの超人》を採用するなど、アドバンスならではのチューニングが見られる可能性はあるので、そこに注目したい。
【水闇自然ボウダンロウ】
味:アドバンス最強のメタカード《とこしえの超人》、《アクア・ジゲンガエシ》からの≪次元のスカイ・ジェット≫、《13番目の計画》でデッキ枚数を増やす|
水闇自然ボウダンロウ DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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超次元やGR召喚を無効化する《とこしえの超人》、《場和了GO-YAMA-58》、《ポッピ・冠・ラッキー》などはアドバンス最強のメタカードだと言える。これらを無理なく採用できるというだけでも使用するだけの価値があると言っても過言ではない。
今回はそういった「とこしえデッキ」の一つとして【水闇自然ボウダンロウ】をサンプルデッキとして選んだ。オリジナルでは《邪龍 ジャジーブラッド》による全体スピード・アタッカー付与が主流だが、アドバンスでは≪次元のスカイ・ジェット≫を使うことができる。
4強に対してどれだけ戦えるのかについてだが、特に【モルトDREAM】対面で《とこしえの超人》は強力で、他のデッキに対しても動きを1ターン遅らせるだけの働きはする。どれだけ環境での立ち位置が良くなるかは、【モルトDREAM】の母数や、他のメタカードとセット採用が鍵を握るだろう。
もう1つ、このデッキタイプ……いや「水闇自然の組み合わせのデッキ」に共通して言えるのが《13番目の計画》を採用しやすいということだ。特定のカードに依存せず、柔軟にゲームを組み立てられるからこそ、デッキ枚数を増やし受け札やメタカードを採用することも可能となる。
因みに「とこしえデッキ」として他にも【火水闇自然万軍投】、【5色最終龍覇モルト】、【水闇自然デッドマン】、【水闇自然ジャオウガ】、【水闇自然DOOMドラゲリオン】など多数存在する。これらの活躍にも期待したい。

【光水闇ダーツデリート】
味:《禁断 ~封印されしX~》+《オールデリート》&《煌銀河最終形態 ギラングレイル》による最強の押し付け|
光水闇ダーツデリート DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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オリジナルでは《ラッキー・ダーツ》から唱えて即勝てるカードなんて存在しない。しかし、アドバンスでは、《オールデリート》と《煌銀河最終形態 ギラングレイル》の2種8枚を採用できるため、十分な出力のデッキだと言える。


【5色バロム】
味:《時空の禁断 レッドゾーンX》4枚侵略による《悪魔世界ワルドバロム》の魔誕、≪勝利の頂上 ヴォルグ・イソレイト6th≫、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫|
5色バロム DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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《悪魔世界ワルドバロム》の完全魔誕は簡単だ。なぜならマナが8ある状態で《魔令嬢バロメアレディ》が走るだけで良いのだから。
《魔令嬢バロメアレディ》による”ゲーム破壊”と、《悪魔龍 ダークマスターズ》や《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》などの”ハンデス”、この2つの動きを押し付け相手に裏目のある行動を取らせるのがこのデッキの強みだ。


環境の速度が3ターン目に定義されている現環境では少々立ち位置が悪いのも事実だが、デッキパワーは健在。メタゲームに合わせてどのようなチューニングが施されるのかに期待したい。【光水闇天門】
味:《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》、《音奏 ハイオリーダ / 音奏曲第3番「幻惑」》による無限GR召喚|
光水闇天門 DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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最後に、前回のアドバンスGP覇者である【光水闇天門】。《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》のプレミアム殿堂、《ツタンメカーネン》のプレミアム殿堂などを経てループ証明の難易度が上がっているものの、デッキパワー自体は一切衰えていない。


また、同じエンジェル・コマンド基盤のデッキとして【光水自然アルファディオス】にも注目したい。【光水闇天門】と比べると《真気楼と誠偽感の決断》を採用できないことがデメリットだが、安定して4ターンキルが狙える点はメリットとなる。
《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を《王導聖霊 アルファディオス》の攻撃時に複数P侵略することで、オリジナルよりも狙ったカードを踏み倒しやすくなる。もちろん、《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》という最強の踏み倒し先もあり、オリジナルとはもはや別デッキだと言っても差し支えないだろう。おわりに
アドバンスの味はまだまだある。《親愛なる友 テスタ・ロッサ》をT・ブレイカーにしないための超次元ゾーン7枚戦略、《ストリエ雷鬼》ケアの超次元ゾーン0枚戦略は、「王道vs邪道 デュエキングWDreaM 2025」で登場した新しい要素だ。


もしくは、【水闇卍夜】、【5色万軍投】、【自然単イミッシュ】などのアドバンスならではのデッキが優勝を掻っ攫うかもしれない。
ある意味で難解、ある意味で混沌、ある意味で自由なレギュレーション「アドバンス」。10月25日(土)、Aichi Sky Expoにて、その答え合わせをしよう。
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