DMGP2024-2nd Day1(アドバンス):メタゲームブレイクダウン
ライター:渋谷 直也(シオン)
はじめに
デュエキングDreaM発売から1週間後の開催となった本大会は《頂上混成 BAKUONSOOO8th》や《夢双龍覇 モルトDREAM》といった新たなエースの初登板ともなる大会だ。 当然事前予想ではこの2枚を軸としたビートダウン・ワンショットデッキをどうチューニングしていくかがカギになると予想されていた。それでは実際に見事予選を突破した128名のデッキタイプを見ていこう。
TOP128デッキ分布
30 【ヘブンズ・ゲート】21 【火光水BAKUONSOOO】
15 【火光闇ファイアー・バード】
11 【光水闇マーシャル・クイーン】
9 【モルトDREAM】
4 【火光自然ドリームメイト】
4 【火闇バイク】
3 【火闇ドルマゲドン】
3 【水闇自然DOOMドラゲリオン】
3 【5cコントロール】
2 【4cドラグナー】
2 【ガイアッシュ覇道】
2 【逆アポロ】
2 【火光水ゴスペル】
2 【火光水ライオネルStar】
2 【水自然ジャイアント】
2 【水闇自然マルル】
2 【水闇COMPLEX】
1 【自然単ミステリートーテム】
1 【闇単ゼナーク】
1 【火光闇ドルマゲドン】
1 【光水闇エルボロム】
1 【火光カウンター】
1 【闇王ゼーロ】
1 【水闇自然グラスパー】
1 【光水自然コントロール】
1 【火光自然ボルベルグ・龍覇】
こうして結果を眺めてみると、プレイヤー達はもう一段階上のステージに足を踏み入れていたことに気付くだろう。
本大会で最も多く予選を勝ちぬけたのは注目の【火光水BAKUONSOOO】や【モルトDREAM】ではなく、それらをカウンターする【ヘブンズ・ゲート】だ。
そして、さらに【ヘブンズ・ゲート】の増加を予想できたプレイヤーは【光水闇マーシャル・クイーン】や【火光自然ドリームメイト】を使用しており、プレイヤー間でのメタゲーム予想の難しさが読み取れる。
【火光水BAKUONSOOO】と【モルトDREAM】もカウンターデッキが溢れていた環境で埋もれることなく、合わせて1/4もの突破数を誇っており、そのデッキパワーの高さが伺える。この逆風の中では十分すぎる活躍だ。
また、腕に自信のあるプレイヤーはオリジナルと変わらぬパワーで強行突破可能な【ファイアー・バード】を使用しており、多くのプレイヤーが予選を通過している。
それでは順にそれぞれのデッキタイプについて解説していこう。
ヘブンズ・ゲート
【火光水BAKUONSOOO】や【モルトDREAM】に対して有利であることから本大会のトップメタとなった。アドバンスでは《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》が使用可能であることも相まって4、5ターン目の制圧力、対応力が跳ね上がっている。また、予選通過最大母数ということもありミラーマッチを意識したデッキ構築の努力の跡も確認できる。
かい DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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じゃきー DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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見事にミラーマッチを制し、TOP4まで勝ち残ったかいとじゃきーの【ヘブンズ・ゲート】には《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》が採用されている。
追加ターンを取り続けるループを組み込むことでミラーマッチの強力なS・トリガーによる逆転を無視できる。
かいは《氷牙君主ハイドロ・ビスマルク帝》を採用することで一度獲得した有利状況を継続させていることに加え、無限追加ターン後のフィニッシャーとしても活用している。
じゃきーは《聖霊超王 H・アルカディアス》と《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》のコンボで時間を稼ぎ、《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》のループに繋げるプランだ。
本大会における天門のカギはミラーマッチへの対策であった。
火光水BAKUONSOOO
《頂上混成 BAKUONSOOO8th》はブロッカーが存在しない状況下で着地すれば即座に致死打点を生み出す新たなフィニッシャーだ。まだ発売から日が浅く呪文を軸としたタイプと低コストクリーチャーを軸として軽減効果を活用するタイプの2つに分かれた。
高い橋 DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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呪文を軸とした構築では《バーニング・フィンガー》や《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》などのルーター(手札入れ替え)を多投し《“必駆”蛮触礼亞》+《頂上混成 BAKUONSOOO8th》の2枚コンボを揃えるものが多く見られた。
《氷柱と炎弧の決断》や《斬隠蒼頭龍バイケン》も多くのプレイヤーが採用しており、シールドからのカウンターやリソース勝負、ハンデスにも対応可能な柔軟な構築といえる。
taharu DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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対して低コストクリーチャーを軸として構築では《ポッピ・冠・ラッキー》や《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を採用することで時間を稼ぎつつ、《“必駆”蛮触礼亞》無しでも《頂上混成 BAKUONSOOO8th》の軽減による召喚を狙える構築となっている。
呪文軸と違いメタ(妨害)クリーチャー+《頂上混成 BAKUONSOOO8th》の盤面を形成できるため、トリガーによるカウンターをケアできるのが強みだろう。また、メタクリーチャーの《飛翔龍 5000VT》という弱点もアドバンスでは採用枚数が少ないことでカバーできている。
天敵である【ヘブンズ・ゲート】に囲まれながらも多く勝ち残っていることから、今後も目を離せないデッキとなってくるだろう。
火光闇ファイアー・バード
オリジナルでも活躍中の【ファイアー・バード】だ。元々のデッキパワーの高さから他のアドバンスのデッキにも引けを取っていない。【ヘブンズ・ゲート】が多い環境と聞くと苦しいようにも思えるが、アドバンスにおける【火光闇ファイアー・バード】VS【ヘブンズ・ゲート】の相性は五分といっても良い。《∞龍 ゲンムエンペラー》や《飛翔龍 5000VT》の採用枚数が少ないことに加え、《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》も《ポッピ・冠・ラッキー》の前ではただのブロッカーだ。
ロマサイ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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弥生町 DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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アドバンスでは《カモン・ピッピー》のカードパワーが注目されがちだが、その陰に隠れてこのデッキのパワーを底上げしている≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫の存在も忘れてはならない。
アドバンスの《龍后凰翔クイーン・ルピア》はブロックされないT・ブレイカーなのだ。
特に本大会では【ヘブンズ・ゲート】が最大母数であったこともあり、大活躍であった。
光水闇マーシャル・クイーン
前評判では後述の【闇単ゼナーク】に不利であるため、注目度は低かった。ところが蓋を開けてみれば予選突破デッキの最大母数が速度で勝る【ヘブンズ・ゲート】、そして【闇単ゼナーク】はたったの一名だ。本大会で最も立ち位置の良かったデッキと言わざるを得ない。
Nettoban DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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このデッキの最も恐ろしいポイント、それは理不尽さだ。最速3ターン目に撃ちだされる《オールデリート》は言わずもがな、並大抵のデッキでは《煌銀河最終形態 ギラングレイル》も致命的だ。対戦相手には祈ることしか許されない。
≪伝説の禁断 ドキンダムX≫のミラーマッチでは自身のターン中の《オールデリート》が有効札とならないが、予選突破デッキの上位3つが【ヘブンズ・ゲート】、【BAKUONSOOO】、【火光闇ファイアー・バード】と≪伝説の禁断 ドキンダムX≫を採用しないデッキであることからも立ち位置の良さがうかがえる。
火光自然ドリームメイト
こちらも【ヘブンズ・ゲート】に対するカウンターデッキだ。メインプランが《お目覚めメイ様》の特殊勝利によるものであるため、《ヘブンズ・ゲート》や《光開の精霊サイフォゲート》に怯えなくてよい。さらに前述にもあったようアドバンスでは《∞龍 ゲンムエンペラー》の採用枚数が少ないことも嬉しい限りだ。
デデンネ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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リキセキタクジン DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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【光水闇マーシャル・クイーン】と同様に、かなり立ち位置が良かったデッキではあるが、少し数で劣ってしまっている理由はやはり【火光闇ファイアー・バード】に対する脆さだろう。両者ともオリジナル環境から大きな変更点はないが、《Disガンバ》や《ヴェネラック-F5》で対応してきた【火光自然ドリームメイト】はそのメタ対象を【ヘブンズ・ゲート】に変更した分のビハインドを背負うことになってしまっている。
【ヘブンズ・ゲート】が急増した本大会においての勝ち組であったが、一定以上の使用者が残るであろう【ファイアー・バード】の存在を考えると、使用者の強心臓は大したものだ。
モルトDREAM
《夢双龍覇 モルトDREAM》の登場でこれまでのドラゴンデッキは姿形を大きく変えていた。構築の自由度が非常に高いため、構築は様々であったが《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を採用したプレイヤーが多く見られた。 《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》はドラグナーの装備にマナ武装を必要としない《夢双龍覇 モルトDREAM》との相性が非常に良いカードだ。
りげ DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》や《王道の革命 ドギラゴン》といった優秀な基盤を利用しつつ、早期の《夢双龍覇 モルトDREAM》の着地も狙える構築になっている。
既に十分なデッキパワーを見せているが、これからの開拓による進化にも期待したい。
闇単ゼナーク
メイプル超もみ人 DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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事前評価が高く、本大会のメタゲームを鑑みても環境への通りはかなり良かったように感じられる。しかし、実際に予選を勝ち抜けたのはわずか1名。それはなぜか。
このデッキは使用難易度が非常に高いのだ。
《零龍》は【闇単ゼナーク】を最強たらしめる所以であり、プレイヤーを最も苦しめる要因でもある。
予選ラウンドの様子を確認する限り、アドバンスを触れる誰もが知るデッキでありながら全体の使用率はかなり低い様に感じられた。
本大会では見せ場を与えられなかったものの、依然として最強格のデッキだろう。
ガイアッシュ覇道
最後は今回のGPを制したデッキで締めくくろう。【ガイアッシュ覇道】は2年前、DMGP2022を制したデッキタイプでもある。そして、その決勝戦から誕生した《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》が再び【ガイアッシュ覇道】を今回のGP優勝へと導いた。
Thrasios DMGP2024-2nd アドバンス構築 |
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2年前から基盤は大きな変化は見せていないが、デュエキングDreaMによりフィニッシャーは多彩になっている。
これは字面の印象以上に影響力が大きい。《流星のガイアッシュ・カイザー》からの展開による対応力が大幅に上昇したと言い換えればその影響力の大きさが分かるだろう。
総括
強力な新カードに支配されるかと思われた本大会は、かえって過去のデッキを奮い立たせる結果となった。しかし、圧倒的な結果ではないが新参たちもその強さ証明したと言えるだろう。
このGPではまだ環境が固まったとは言えない、これからの環境の変化にも注目だ。
この記事が、アドバンスに触れるプレイヤーの助けになれば幸いだ。
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